外交・安全保障・危機管理検討中
スパイ防止法とは?いま何が検討され、法案は国会でどうなっているのか
「スパイ防止法」という言葉をニュースで見かける機会が増えています。けれども、2026年7月27日の時点で、日本に「スパイ防止法」という名前の法律はありません。その名前の法律案が国会で審議されているわけでもありません。
では何が議論されているのか。内閣総理大臣は2026年5月8日の参議院本会議で、「スパイ防止法という言葉は多義的で、取締り法規や権限法規も含み得る」と述べました。一つの法律を指す言葉ではなく、性質の違う複数の制度をまとめて呼ぶ言い方だ、という説明です。
政府が国会で説明しているのは、外国からの不当な干渉を防ぐ仕組みと、国外の情報を集める機能の充実について「関連する課題や論点を整理しているところ」だということ、そして「具体的なスケジュールをお示しできる段階にはない」ということです。2026年5月27日に成立した国家情報会議設置法は、内閣総理大臣の言葉では「改革の第一歩」であり、その先はまだ形になっていません。
一方で、国会には関連する法律案が出ていました。参議院議員5名が2026年4月2日に防諜に関する施策の推進に関する法律案など2件を提出しています。ただし、2026年7月25日に閉会した第221回国会について、参議院の議案審議情報には、この2件が委員会に付託された記録も、議決された記録もありません。
このページでは、スパイ防止法と呼ばれているものの中身が何に分かれるのか、政府が国会で何を説明したのか、そして何がまだ決まっていないのかを、国会と政府の公式記録にもとづいて整理します。
スパイ防止法の基本的事項
「スパイ防止法」は一つの法律の名前ではない
まず押さえておきたいのは、この言葉が指す範囲が定まっていない、ということです。
2026年5月8日、参議院本会議でいわゆるスパイ防止法の制定について問われた内閣総理大臣は、次のように答えています。スパイ防止法という言葉は多義的で、取締り法規や権限法規も含み得る。外国による不当な干渉のさらなる防止の方策については検討を進めなければならない重要な課題である。ただし政府内で論点を整理中の段階にあり、時期や方向性について定まった方針をまだ述べられない——。
「取締り法規」は、してはいけない行為を定めて罰する法律です。「権限法規」は、行政機関に何ができるかを定める法律です。この二つは性質が違います。同じスパイ防止法という言葉で、片方を思い浮かべている人と、もう片方を思い浮かべている人がいる——政府の答弁は、そのことを認めたものと読めます。
議論されている三つの制度
国会の質疑と答弁を追うと、スパイ防止法の名のもとで議論されているものは、おおむね次の三つに分かれます。
一つ目は、外国から指示を受けた活動の透明性を確保する制度です。外国代理人登録制度と呼ばれます。内閣官房の担当者は2026年5月14日の参議院内閣委員会で、この制度を次のように説明しました。外国政府などとの取決めや指示のもとで、その外国政府などのために日本の政策決定や世論形成に影響を与えることを目的として、議員などの公職者との接触、情報活動、宣伝活動を行う者について、政府への事前の登録と公表、活動状況の報告などを義務づける。目的は、外国の影響下にある活動の透明性を確保することを通じて、国の安全や利益を守ることにある——。アメリカでは戦前から整備されており、近年はイギリスやフランスなどでも同じような制度が作られていると説明されています。
二つ目は、秘密を漏らす行為などへの罰則です。日本にはすでに特定秘密の保護に関する法律と、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律があり、秘密を漏らす行為に罰則が定められています。参議院に提出されている改正案は、この二つの法律に、外国政府などに秘密を漏らした場合の重い罰則を新たに設ける、という内容です。
三つ目は、国外の情報を集める新しい行政組織です。対外情報庁と呼ばれることがあります。内閣総理大臣は2026年2月24日の衆議院本会議で、対外情報を収集するための有効な組織の在り方などについて、与党と緊密に連携しつつ検討を進めると答弁しました。組織の名称も、権限も、設置の時期も、当サイトが確認できた公式資料では決まっていません。
いま日本にある法律
スパイを取り締まる法律が日本にはない、と言われることがありますが、関連する法律がまったくないわけではありません。国会では、次のような法律が挙げられています。
- 外国為替及び外国貿易法(外為法) — 経済産業副大臣は2026年7月15日の衆議院外務委員会で、日本の輸出の規制は外為法により包括的に対応することが可能であり、軍事転用が可能な品目については従来から厳格な輸出管理を行ってきたと説明しました
- 不正競争防止法 — 内閣官房の担当者は2026年5月14日の参議院内閣委員会で、営業秘密の漏えいなどについて、この法律にも罰則が定められていると述べています
- 特定秘密の保護に関する法律/重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律 — 国の重要な秘密、経済安全保障上の重要な情報を扱う人を限り、漏えいに罰則を定めた法律です
議論になっているのは、これらで足りるかどうかです。2026年7月15日の衆議院外務委員会では、質問した議員が、いま使える法律は外為法・不正競争防止法・出入国管理及び難民認定法などに限られると述べています。他方で、内閣官房の担当者は同じ委員会で、重要情報の窃取など外国の情報機関による諸工作は活発に行われていると認識しており、一層厳正に対処していく必要があると答えました。
国会に提出されている法律案
参議院議員5名(発議者は参政党の神谷宗幣議員ほか4名)が、2026年4月2日に2件の法律案を参議院に提出しています。参議院の議案審議情報で確認できる内容です。
防諜に関する施策の推進に関する法律案(第221回国会・参法第5号)は、いわゆる「基本法」の形をとっています。提出された本文によれば、おおよそ次のような組み立てです。
- 「防諜」を、外国が行う諜報などによる悪影響を防止することと定義し、その対象に、秘密の取得のための活動と、虚偽の情報の発信などによって選挙や政策決定に不当な影響を及ぼす活動の両方を挙げる
- 施策の策定と実施にあたって、国民の基本的人権を不当に侵害してはならず、国民の知る権利の保障に資する報道・取材の自由に十分配慮しなければならないという基本理念を置く
- 政府が防諜基本方針を閣議で決定して公表し、毎年、国会に施策の報告を行う
- 集中的に講ずべき施策として、外国から指示などを受けた者の届出と報告の制度の創設(施行後2年以内)、罰則の整備の検討(施行後2年以内を目途)、内閣官房への内閣情報調査局の設置、独立した公正な立場で検証・監察する新たな機関の設置の検討を挙げる
特定秘密の保護に関する法律及び重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の一部を改正する法律案(同・参法第6号)は、この2法に、外国政府などに秘密を漏らした場合の重い罰則を新設し、未遂や共謀・教唆なども処罰の対象に加え、適性評価で見る事項として過去に有していた国籍を含む外国との関連性を条文に明示する、という内容です。
いずれも本院先議として提出されましたが、参議院の議案審議情報には、委員会に付託された記録も、議決された記録もありません。 第221回国会は2026年7月25日に閉会しています。継続審議になったのか、それとも別の扱いになったのかについて、公式記録は書いていません。当サイトは、記録がないという事実だけを記します。
政府の説明 — 次に検討する制度は、性質が違う
政府の説明で一貫しているのは、次に検討する制度は、国家情報会議設置法とは性質が違うという点です。
内閣官房長官は2026年4月22日の衆議院内閣委員会で、国家情報会議設置法案は行政機関どうしの関係を定める組織法であり、新しい調査権限や捜査権限を設けるものではないと説明したうえで、今後検討する施策には国民の権利義務に関わるものを含み得ると述べました。そして、その場合には、最終的に決めるのは国会であるとしたうえで、国会による監視を含めて民主的統制の在り方も検討する必要があると答弁しています。
同時に、施策の具体像がまだ定まっていない現時点で、それに対する民主的統制の制度の在り方を答えるのは困難だとも述べました。「何を作るか」が決まっていないのでどう歯止めをかけるかも決められない——政府の説明はこの構造になっています。
内閣官房の担当者は2026年5月26日の参議院内閣委員会で、検討中の論点を三つ挙げました。対象となる活動をどのように類型化できるか、それに対してどのような規制の方法が考えられるか、所管する行政機関がどのような監督措置を講じることが考えられるか、の三つです。あわせて、論点整理中であり、詳細な内容やスケジュールを示す段階にはないと述べています。
国会での議論の動向
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衆議院
本会議の代表質問で、内閣総理大臣が「いわゆるスパイ防止法」について答弁した[5]
与党と緊密に連携しながら課題や論点を整理しているところであり、連立政権合意書に掲げられたほかのインテリジェンス政策を含めて必要な検討を進める、という内容でした。あわせて、国外の情報を集める組織の在り方についても検討を進めると述べています
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参議院
参議院議員5名が「防諜に関する施策の推進に関する法律案」など2件を提出した[4][6][13][14]
もう1件は「特定秘密の保護に関する法律及び重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の一部を改正する法律案」です。いずれも本院先議で、発議者は参政党の神谷宗幣議員ほか4名と記載されています
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衆議院
内閣委員会で、内閣官房長官が民主的統制について答弁した[7]
国民の権利利益を制約し得るインテリジェンス政策を検討するにあたっては、最終的に決めるのは国会であるとしたうえで、国会による監視を含め、民主的統制の在り方についても検討していく必要があると述べました
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参議院
本会議で、内閣総理大臣が「スパイ防止法という言葉は多義的」と答弁した[1]
取締り法規や権限法規も含み得るとしたうえで、政府内で論点を整理中の段階にあり、時期や方向性について定まった方針をまだ述べられないと答えています。外国代理人の登録制度についても、外国の事例を研究しつつ課題や論点を整理していると述べました
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参議院
内閣委員会で参考人質疑が行われた[8]
出席した3名の参考人に対し、「スパイ防止法」や国外の情報を集める組織の議論に進む順序の是非、外国代理人の登録制度の設計について質疑が行われました
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両院
国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)で、外国勢力との関係の届出制度が取り上げられた[9]
公権力を担う者について、外国政府や外国政府系団体との資金関係などの届出と公開の制度を検討すべきではないかという問いに対し、内閣総理大臣は、寄附の受領は現行法で禁止されていること、帰化歴の届出と公表は法の下の平等の観点から慎重に考える必要があることを述べました
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参議院
内閣委員会で、内閣官房の担当者が検討中の論点を三つ挙げた[2]
対象となる活動をどのように類型化できるか、それに対してどのような規制の方法が考えられるか、所管する行政機関がどのような監督措置を講じることが考えられるか、の三つです。論点整理中であり、詳細な内容やスケジュールを示す段階にはないとしています
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参議院
国家情報会議設置法が成立し、内閣総理大臣が会見で「改革の第一歩」と述べた[10]
その他のインテリジェンス施策については、現時点で具体的な内容を述べられる段階にはないとしたうえで、一つ一つ丁寧かつ着実に検討を進めると述べました
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衆議院
外務委員会で、内閣官房の担当者が外国情報機関の活動について答弁した[11]
重要情報の窃取など外国の情報機関による諸工作は活発に行われていると認識しており、一層厳正に対処していく必要があると述べました
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両院
2026年2月18日から158日間の会期でした。参議院に提出されていた2件の法律案について、参議院の議案審議情報には付託や議決の記録がありません
国会での説明
国会でどう説明されたかを、会議録にもとづいて要約しています。発言をそのまま引き写してはいません。
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高市早苗内閣総理大臣自由民主党・無所属の会
/衆議院/本会議
いわゆるスパイ防止法の内容については、与党と緊密に連携しながら課題や論点を整理しているところだと答弁した[5]
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高市早苗内閣総理大臣自由民主党・無所属の会
/参議院/本会議
スパイ防止法という言葉は多義的で、取締り法規や権限法規も含み得るとしたうえで、政府内で論点を整理中の段階にあり、時期や方向性について定まった方針をまだ述べられないと答弁した[1]
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高市早苗内閣総理大臣自由民主党・無所属の会
/参議院/本会議
外国からの不当な干渉を防ぐ仕組みは国民の権利利益に関わる制度となり得るため、さまざまな人の意見を聞きながら丁寧に検討を進める必要があると答弁した[1]
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木原稔国務大臣自由民主党・無所属の会
/衆議院/内閣委員会
国民の権利利益を制約し得るインテリジェンス政策を検討する場合は、最終的に決めるのは国会であるとしたうえで、国会による監視を含め民主的統制の在り方も検討する必要があると答弁した[7]
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木原稔国務大臣自由民主党・無所属の会
/参議院/内閣委員会
連立政権合意に掲げられたインテリジェンス施策を含め、現在は関連する課題や論点を整理しているところであり、具体的な方向性や実施時期を示せる段階にはないと答弁した[2]
質疑で問われたこと
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日本維新の会
連立政権合意にもとづき2025年中に検討を開始するとされたスパイ防止関連法制について、これまでの検討内容の報告と、2026年度中にどう対応するのかの具体的な説明を求めた[2]
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参政党
包括的なスパイ防止法の案を国会に提出していると述べたうえで、情報の収集強化、外国代理人の登録制度を含む防諜、摘発、国民の情報リテラシー向上に加えて、強い権限を持たせる場合には監視機関や国会への報告も併せて必要だと述べた[8]
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立憲民主・無所属
国外の情報を集める組織やスパイ防止法の議論は国論を二分しかねず、先送りされる可能性もあるとしたうえで、先行する国家情報会議についても、施行後2年から3年以内に国会への定期報告や監督機関の設置の方向性を定めておく必要があるのではないかと述べた[8]
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日本共産党
国外の情報を集める組織やスパイ防止法、通信傍受を担っていく流れのなかでは、憲法との関係が問題になってくると述べた[8]
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国民民主党・新緑風会
不当な影響力の行使に対処するため、外国代理人登録法のような透明性と実効性のある法整備の検討に着手することを求めた[2]
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公明党
外国代理人登録法の必要性についての認識と、どのような法整備で、どのような外国代理人が登録することになるのかを問うた[2]
まだ決まっていないこと
決まっていないことを「未定」とだけ書くのではなく、何が、どういう理由で決まっていないのかを、 公式記録で確認できた範囲で示しています。
- 「スパイ防止法」として何を作るのか検討中
- 内閣総理大臣は2026年5月8日の参議院本会議で、スパイ防止法という言葉は多義的で、取締り法規や権限法規も含み得ると述べています。同年5月26日の参議院内閣委員会では、内閣官房の担当者が、対象となる活動の類型化、規制の方法、所管する行政機関の監督措置という三つを検討中の論点として挙げました。いずれも論点整理の段階だとしています。[1][2]
- 外国代理人の登録制度検討中
- 内閣総理大臣は2026年5月8日の参議院本会議で、外国の事例も研究しつつ課題や論点を整理しているところだと述べました。同年5月26日の参議院内閣委員会では、外国による不当な干渉を防止するための制度として日本でも検討する必要があると答弁しています。制度の対象も、届出とするか登録とするかも、当サイトが確認できた公式資料では決まっていません。[1][2]
- 国外の情報を集める新しい行政組織検討中
- 内閣総理大臣は2026年2月24日の衆議院本会議で、対外情報を収集するための有効な組織の在り方などについて、与党と緊密に連携しつつ検討を進めると答弁しました。組織の名称、権限、設置の時期は、当サイトが確認できた公式資料では決まっていません。[5]
- 民主的統制のしくみ検討中
- 内閣官房長官は2026年4月22日の衆議院内閣委員会で、国民の権利利益を制約し得る施策を検討するにあたっては国会による監視を含め民主的統制の在り方も検討する必要があるとしたうえで、施策の具体像がまだ定まっていない現時点でその制度の在り方を答えるのは困難だと述べました。[7]
| 決める主体 | 決める事項 | 時期 |
|---|---|---|
| 政府(内閣官房) | 規制の対象となる活動の類型化、規制の方法、所管する行政機関の監督措置の検討[2] | 時期は示されていません。2026年5月26日の参議院内閣委員会で、論点整理中であり詳細な内容やスケジュールを示す段階にはないと説明されています |
| 政府・与党 | 連立政権合意書に掲げられたインテリジェンス政策の検討[5] | 時期は示されていません。2026年2月24日の衆議院本会議で、短期間に結論を得られるものばかりではないと答弁されています |
| 国会 | 法律案が提出された場合の審議。参議院に提出済みの2件の扱いを含みます[12][4] | 第221回国会は2026年7月25日に閉会しました。次の国会の召集日は、当サイトが確認できた公式資料では決まっていません |
報道と公式記録の相違
当サイトは公式記録に従って記載しています。報道を誤りと断じる意図はありません (表現の違い、取材時点の違い、当サイト側の読み取り違いなど、理由はさまざまです)。
- 関連する法整備の時期
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報道時事通信は2026年5月8日配信の記事で、自由民主党と日本維新の会の連立政権合意書がスパイ防止関連法制の例として基本法・外国代理人登録法・ロビー活動公開法を挙げ、「速やかに成立させる」と明記していると伝えています。
公式記録国会の会議録で確認できる政府の説明は、2026年5月8日の参議院本会議でも同年5月26日の参議院内閣委員会でも、関連する課題や論点を整理している段階であり、具体的な方向性や実施時期を示せる段階にはない、というものです。連立政権合意書そのものは政党間の文書であり、当サイトが参照する国会・政府の公式資料には収録されていません。[1]
当サイトは、国会の会議録で確認できる政府の説明を本文に記載し、連立政権合意書の記載内容は報道による記載であることを明示しています。合意の内容と政府の検討状況は、そもそも述べている主体が異なる点にご留意ください。
補足
参考人質疑で何が言われたか
2026年5月19日、参議院内閣委員会は国家情報会議設置法案について参考人質疑を行いました。当サイトは、公職にない方の氏名は記載せず、役割で記します。
参考人として出席した弁護士は、外国代理人の規制制度について、アメリカ、イギリス、フランスなど各国の制度を調べたがいずれも対象が広すぎると考えるとしたうえで、政治的な行為に限って外国のロビー活動の透明性を確保するという考え方(EUの指令)を検討してみてほしいと述べました。ロシアのように広範な制度は表現の自由を侵害する状態になっている、とも指摘しています。
参考人として出席した大学教授は、これまで日本政府のなかにインテリジェンス政策に関わる議案を審議・検討する場がなかったとしたうえで、まず国家情報会議を設けて将来の改革を議論できる場をつくるという順番でよいと述べました。そのうえで、それぞれの改革について、時の政権による国民への説明が積極的に行われるべきだとしています。
同じ質疑のなかで、順序を肯定する意見と、制度設計の広さを警戒する意見の両方が出ています。 どちらが正しいかを当サイトは判定しません。
監督のしくみは、賛否のどちら側からも求められている
この論点で特徴的なのは、制度を急ぐ側からも、慎重な側からも、監督のしくみが求められていることです。
国会に法律案を提出した会派の議員は2026年5月19日の参議院内閣委員会で、強い権限を付与する場合には、それにふさわしい監視機関や国会への報告も併せて必要だと述べています。実際、提出された防諜に関する施策の推進に関する法律案にも、独立した公正な立場で検証・監察する新たな機関の設置を検討するという条文が置かれています。
一方、国家情報会議設置法案に反対した会派の議員は、国外の情報を集める組織やスパイ防止法の議論が国論を二分して先送りされる可能性を挙げ、先行する国家情報会議についても国会への定期報告や監督機関の設置の方向性を先に定めておく必要があるのではないかと述べました。
有識者会議はまだ見当たらない
内閣総理大臣は2026年5月8日の参議院本会議で、その他のインテリジェンス施策を検討する際には国民の権利義務に直接関わる法制度を検討することも考えられることから、有識者会議で多角的に議論してもらうことも重要だと答弁しました。
内閣官房が公表している各種本部・会議等の一覧を当サイトが確認したところ、2026年7月27日時点で、この分野を扱う会議体は掲載されていません。 一覧には情報保全諮問会議、カウンターインテリジェンス推進会議、内閣情報会議などがありますが、いずれも以前から置かれている別の会議体です。
会議体が設けられたときには、開催状況が同じ一覧に載ります。当サイトはそこを見て更新します。
スパイ防止法についてよくある質問
スパイ防止法とは何ですか?
特定の一つの法律の名前ではありません。内閣総理大臣は2026年5月8日の参議院本会議で、この言葉は多義的で、取締り法規や権限法規も含み得ると述べています。実際に議論されているのは、外国から指示を受けた活動の透明性を確保する制度、秘密を漏らす行為などへの罰則、国外の情報を集める組織の整備といった、性質の異なる複数の制度です。[1]
日本には、スパイを取り締まる法律がまったくないのですか?
外国代理人の登録制度とは、どんなしくみですか?
内閣官房の担当者は2026年5月14日の参議院内閣委員会で、外国政府などとの取決めや指示のもとで、その外国政府などのために日本の政策決定や世論形成に影響を与えることを目的として、議員などの公職者との接触、情報活動、宣伝活動を行う者に対し、政府への事前の登録と公表、活動状況の報告などを義務づける制度だと説明しました。アメリカでは戦前から整備されており、近年はイギリスやフランスなどでも同じような制度が作られていると説明されています。[3]
いつ法案が国会に出るのですか?
国会に、スパイ防止法の法案は出ているのですか?
2026年に成立した国家情報会議設置法とは、何が違うのですか?
対外情報庁とは何ですか?
国外の情報を集めて分析することを中心的に担う、新しい行政組織を指す言い方です。内閣総理大臣は2026年2月24日の衆議院本会議で、対外情報を収集するための有効な組織の在り方などについて、与党と緊密に連携しつつ検討を進めると答弁しました。組織の名称も、権限も、設置の時期も、当サイトが確認できた公式資料では決まっていません。[5]
更新履歴
- 初版公開。国立国会図書館の会議録、参議院の議案審議情報と提出法律案の本文、首相官邸の記者会見、内閣官房の会議体一覧をもとに、「スパイ防止法」と呼ばれているものの中身、政府が国会で説明した検討状況、国会に提出されている法律案の現在地、まだ決まっていないことを掲載。
出典
事実の骨格は国会・官公庁の公式資料(一次情報)を根拠にし、直近の動きや争点の説明には報道を用いています。 確認の方法は編集方針をご覧ください。 * は 1 媒体のみが報じた事項です。
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 本会議 第11号(2026年5月8日) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 内閣委員会 第10号(2026年5月26日) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 内閣委員会 第7号(2026年5月14日) 時点 / 確認
- 一次情報参議院議案審議情報 防諜に関する施策の推進に関する法律案(議案審議情報) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 本会議 第3号(2026年2月24日) 時点 / 確認
- 一次情報参議院議案審議情報 特定秘密の保護に関する法律及び重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の一部を改正する法律案(議案審議情報) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 内閣委員会 第7号(2026年4月22日) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 内閣委員会 第8号(2026年5月19日・参考人質疑) 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 国家基本政策委員会合同審査会 第1号(2026年5月20日) 時点 / 確認
- 一次情報首相官邸記者会見 国家情報会議設置法の成立についての会見 時点 / 確認
- 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 外務委員会 第14号(2026年7月15日) 時点 / 確認
- 一次情報参議院会期一覧 国会会期一覧(第221回国会 特別会) 時点 / 確認
- 一次情報参議院議案本文 防諜に関する施策の推進に関する法律案(提出法律案・本文) 時点 / 確認
- 一次情報参議院議案本文 特定秘密の保護に関する法律及び重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の一部を改正する法律案(提出法律案・本文) 時点 / 確認
- 一次情報内閣官房政府会議一覧 各種本部・会議等の活動情報 時点 / 確認
- nippon.com報道(配信:時事通信) 高市首相「スパイ防止法」意欲=情報会議法案、参院審議入り 配信 / 確認 分析・解説