税・財政提出前

給付付き税額控除とは?何が決まり、何がまだ決まっていないのか

所得に応じて給付の額が増え、平らになり、やがて消えるという案の形を塗りつぶしで、まだ示されていない目盛りを空の枠で表した抽象図

働いて得た収入から、税と社会保険料が引かれます。引かれたあとに手元に残る額を、所得に応じた給付で調整する。そういう新しい制度の案が、政府と各党でつくる社会保障国民会議の実務者会議で議論されています。

2026年8月5日、政府はこの制度の導入について基本方針を閣議決定しました。 基本方針には、令和11年度(2029年度)に所得へ連動させたきめ細かな給付を始めること、その前の2年間を経過措置とすることが書かれています。前提となった社会保障国民会議の中間とりまとめは、7月29日付で表題から「(案)」が外れ、この閣議決定の別紙として添えられました。

方針には、時期と形と考え方が書かれています。一方で、最も知りたいはずの二つ——いくら受け取れるのか、どこまでの所得の人が受け取れるのか——は書かれていません。 どちらも、国際比較などを参照しながら「恒久財源の確保とあわせて検討する」とされているだけです。

そして、方針が決まったことと、制度が動き出すことは別です。 給付を実際に始めるには法律の改正が要り、その法案は2026年8月10日の時点でまだ国会に提出されていません。

このページは、閣議決定された基本方針と、その前提となった中間とりまとめに何が書かれ、何が書かれていないかを、公式の記録だけを根拠に並べたものです。

給付付き税額控除の基本的事項

税と社会保険料を差し引いた手取りの重さを調整するという考え方と、所得に応じて給付額が変わる案の形を示した図
税と社会保険料を差し引いた手取りの重さを調整するという考え方と、所得に応じて給付額が変わる案の形を示した図

2026年8月5日、政府は何を決めたのか

閣議決定された基本方針は、次のように書いています。

  • 本格導入は令和11年度。 追加的な情報を確保する仕組みなど、制度導入のための環境が整うことが見込まれる時期として置かれています
  • 経過措置(つなぎ)は令和9年4月1日から2年間。 軽減税率の対象となっている飲食料品にかかる消費税率を1%とすることと、消費税1%相当分の範囲内で給付を先行導入することを組み合わせ、あわせて飲食料品にかかる消費税の実質ゼロ化を実現するとされています
  • 対象は個人単位。 単身者も対象とし、一定の勤労性の所得と一定の税・社会保険料の負担がある人を対象とするとされています
  • こどもの加算は18歳以下。 ただし経過措置の期間は15歳以下とされ、配偶者の所得を勘案する例外も置かないとされています
  • 財源は特例公債に頼らない。 本格導入分は恒久財源を早期に、経過措置分は令和9年度の予算編成のなかで結論を得るとされています
  • 国と地方の協議を経てから法制化する。 丁寧な協議を行ったうえで、必要な法制上の措置を可及的速やかに講ずるとされています

金額は、どこにも書かれていません。 給付の額も、給付を受けられる所得の水準も、恒久財源の確保とあわせて検討すると書かれているだけです。

7月29日の親会議で、各党の代表は何を述べたか

中間とりまとめが示された社会保障国民会議 第2回の議事録が、2026年8月11日に公表されました。 会議は7月29日の午後2時59分から3時31分まで。同じ日の午前9時からの実務者会議で案が確定し、その日のうちに親会議へ上がった形です。7党の代表が発言し、最後に内閣総理大臣が発言しました。なお、実務者会議は与野党8党で22回にわたり開かれています。

制度の本体(令和11年度に導入する給付)についての発言は、次のように分かれました。

発言の順に並べます。

  • 日本維新の会 — 再分配の適正化という意味で非常に意義深い。給付のみならず税額控除と給付を適切に組み合わせるよう強く求める
  • 国民民主党 — 方向性には賛成。給付のみで終わらず、文字どおり給付と控除の組合せとなるよう引き続き検討すべき
  • 中道改革連合 — 賛同するが、あくまで第一歩。対象となる勤労者ができるだけ広くなることを望む。働けない人への対応も、可能なものは令和11年度から併せて実施できるよう本格導入までに結論を
  • 立憲民主党中間とりまとめには反対。 中低所得の現役勤労者のみが対象で、低所得・無所得の人が除外されている。税額控除のない給付措置を「給付付き税額控除」と呼ぶのは実態と乖離している。 そのうえで、本格的な給付付き税額控除の早期導入に向けた議論の継続を親会議として決定し、両会議に諮問するよう求める
  • 公明党 — 完成形ではなくまだ第一歩。所得把握の精度向上と、働くことが困難な人への支援の検討が不可欠
  • チームみらい — 所得連動型給付とこどもの加算を軸にまとめられたことは、かねての主張と方向を同じくするもので評価する
  • 日本保守党 — 中間とりまとめ案は論外であり到底賛成できない。 一旦取って配る給付よりも、税額控除すなわち減税のほうが制度として優れている

内閣総理大臣は締めくくりで、これまで長い間議論が深められてこなかった給付付き税額控除について、令和11年度から導入する給付の内容が具体的に示されたと述べました。 一律の金額での給付とは異なり、負担と給付を総合的に捉えて所得等に応じた支援を届ける点で画期的な意義がある、という評価です。将来目指すべき方向については各党で様々な意見があるとして、検討を継続すると述べています。

中間とりまとめは、全党が内容に賛成して決まったものではありません。 立憲民主党は反対を、日本保守党は承服できないと表明しています。一方で、その前に開かれた第22回実務者会議では、8党すべてが親会議に上げることを了承しています(立憲民主党は「妨げない」という言い方でした)。内容への賛否と、手続の了承は別のことがらです。 この中間とりまとめが、8月5日の閣議決定の別紙となりました。

「給付付き税額控除」という名前と、公式の文書で使われている呼び名は違う

給付付き税額控除は、税額から差し引く税額控除と、現金の給付を組み合わせた仕組みを指す言葉です。税額控除だけでは、納める税が少ない人ほど差し引ける余地が小さくなります。そこに給付を組み合わせることで、所得の低い人にも支援が届くようにする、という考え方です。

ところが、閣議決定された基本方針が令和11年度に導入するとしているものの呼び名は「所得に連動したきめ細かな給付」です。税額控除という言葉が入っていません。基本方針の別紙となった中間とりまとめは、税額控除と給付を組み合わせるかどうかについて、意見が分かれたままだと書いています。短期的には給付への一本化が望ましいという考え方が示された一方で、当初から組み合わせるべきだという意見や、将来的には組み合わせるべきだという考え方も強く示された——そのうえで、将来的に給付のみと決め打ちすることなく検討を継続する、としています。

制度の名称も、まだ決まっていません。一律の金額での給付とは違うことが分かりやすく伝わるよう、実態に即した名称とすることを含めて必要な対応に努める、と書かれた段階です。

なぜこの制度が検討されているのか

2026年4月22日の衆議院財務金融委員会で、内閣官房の政府参考人は、有識者会議で指摘されている政策目的として二点を挙げました。中低所得の現役世代の税・社会保険料負担の軽減を通じた所得再分配と、収入と手取りの関係の屈折による就労抑制効果の緩和を通じた就労促進です。あわせて、制度をまたいで負担と現金給付を総合的に捉え、所得が増えるのに応じて純負担率を調整することに意義があるという指摘も出ていると述べています。

純負担率という言葉が、この議論の骨にあたります。実務者会議に示された議論の整理は、税と社会保険料を払い、現金給付を受け取ったあとに手元へどれだけ残るかで受益と負担を見る、という視座を置いています。そのうえで、共働き子育て世帯については、生活保護水準をやや上回る収入の世帯で純負担率が諸外国と比べて高くなっており、所得が低い層の社会保険料負担が重いことや子育て支援の差が要因と考えられる、としています。

2026年6月4日の衆議院予算委員会で、なぜ日本は中低所得者の純負担率が重いのかと問われた首相は、この整理の内容をそのまま引いて答えました。理由の説明も、会議の資料の中にあります。

基本方針に書かれている形

基本方針が示している形は、次のようなものです。

  • 個人単位とし、単身者も含める。個人事業者やフリーランス、就労して純負担が現役並みの中低所得の高齢者も含める
  • 一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人を対象とする
  • 勤労性の所得が一定の水準に達するまでは給付額が増えていき、その後は定額になる。総所得が一定額を超えると、公平性の観点から減っていって消える
  • 非課税ラインより下の所得は把握に課題があるため、そこは定額とする
  • 18歳以下のこどもの人数に応じた加算を行う。ただし、この点には制度の複雑化を懸念する慎重な意見があったと併記されている
  • いわゆる「年収の壁」による手取りの減少に配慮した加算を、時限的な措置として行う
  • 高所得の配偶者がいる場合には、一定の例外を設ける

金額の目盛りだけが入っていない図、と言えば近いかもしれません。第19回会議には、この形を描いたイメージ図も配られました。縦軸は給付額、横軸は所得ですが、どちらの軸にも数値は入っていません。

金額が入っていないのは、書き忘れではない

基本方針は、給付額についても、給付を受けられる所得の水準についても、同じ言い方で書いています。純負担率や純負担額の国際比較、諸外国の類似制度の対象者の所得の範囲などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討する、と。

つまり、金額は財源の議論と切り離せないものとして残されています。財源についても、恒久施策であるため一時財源ではなく恒久財源を確保する必要があるとし、市場の信認を損なうことのないよう特例公債に頼らず、補助金や租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しを通じて確保することとして、早期に結論を得る、と書かれています。どれをどれだけ充てるのかは書かれていません。

対象とする勤労性の所得の基準についても、基本方針の別紙となった中間とりまとめは結論を書いていません。被用者保険の短時間労働者の適用ラインを超える水準、給与所得0円超、雇用保険の適用ラインを超える水準という三つの意見があったと、そのまま併記しています。上の表では、その三つを並べました。

国会で最も重ねて問われたのは「働けない人はどうなるのか」

2026年6月4日の衆議院予算委員会で、中道改革連合・無所属の質疑者が、英国の経緯を挙げました。英国は1999年に、就労していることを厳格な条件として本格導入したものの、そのわずか4年後の2003年に、働いているかどうかという線引きを撤廃した——だから日本は、これから創設するのだから、病気や障害、育児や介護などの事情で働きたくても働けない人を、制度設計の最初の段階から入れてほしい、という求めでした。

首相は「委員のおっしゃること、よく分かります」と述べ、国民会議では双方から取り残される者が生じないようにという議論が行われているため、問題意識は共有されていると思う、と答えました。同時に、自分が結論を先取りして決め打ちすることはしないし、してはいけない、とも述べています。

閣議決定された基本方針は、この点をこう書いています。働いてはいるものの低収入の現役世代や、就労意欲はあるものの病気や障害等で働けない人など、給付の対象外で支援が必要な人を丁寧に把握したうえで、生活困窮者自立支援制度や障害者福祉といった既存の制度との関係を整理し、給付と相談・就労支援の一体的な実施を含め、必要な対応のあり方を財源とともに検討して、可能なものについては令和11年度から併せて実施できるよう、本格導入までに結論を得る。あわせて、国民年金や国民健康保険の減免・軽減制度など、所得に応じた負担軽減措置を必要に応じて拡充するなどの対応を含め、幅広く選択肢を検討する、とも書かれています。

つまり、給付そのものの対象には含めないまま、既存の制度との関係の整理と、一体的な実施を含めた対応について、本格導入までに結論を得るという書き方になっています。 質疑者はそこを重ねてただしていました。

誰が配るのかも、まだ決まっていない

基本方針は、給付を実際に配る主体について、国か地方自治体かの二者択一ではないとしています。システムなど全国一律のほうが効率的なインフラの整備は国が担い、住民との窓口の部分は地方自治体を中心に、という方向で検討を行う——ただしそれは、国と地方の間の丁寧な協議を経るものとされています。

背景には、過去の給付事務で自治体に大きな負担がかかったという経緯があります。公金受取口座の登録率が現状で5割程度にとどまっているとして、その向上を国として強力に推進するとも書かれています。

この協議の場は、実際に動き出しました。 2026年8月10日、「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場の第1回が開かれています。政府側は全世代型社会保障改革担当大臣と、総務省・財務省・厚生労働省・こども家庭庁・デジタル庁の副大臣と政務官。地方側は全国知事会、全国市長会、全国町村会です。国と地方の具体的な役割分担と、給付の事務執行のあり方を協議するとされています。

2026年6月4日の衆議院予算委員会では、平時は給付付き税額控除として動き、緊急時には迅速な給付の基盤にもなるよう整備してはどうか、という提案がありました。首相は「大いに賛同いたします」と述べています。

示されている数値

数値は「決定したもの」「案として示されたもの」「試算」を区別して掲載しています。 位置づけの欄をあわせてご覧ください。

示されている数値
項目数値位置づけ
本格導入の時期 令和11年度[36] 決定
対象とする所得の目安(示された意見の一つ目) 給与所得 約32万円超(給与収入 約106万円超)[4]
対象とする所得の目安(二つ目) 給与所得 0円超(給与収入 74万円超)[4]
対象とする所得の目安(三つ目) 給与収入 約53万円超[4]
こどもの人数に応じた加算の対象(本格導入時) 18歳以下[36] 決定
給付の額 示されていない[4] 試算なし
給付を受けられる所得の上限 示されていない[4] 試算なし
先行導入(経過措置)の時期 令和9年度[36] 決定
経過措置の期間 令和9年4月1日から2年間[36] 決定
経過措置の期間のこども加算の対象 15歳以下[36] 決定
公金受取口座の登録率 現状5割程度[36] 決定

国会での議論の動向

論点の整理、案の提示、中間とりまとめ、閣議決定による方針の決定、国と地方の協議、法制上の措置という六つの段階のうち、どこまでが済んでいるかを示した図
論点の整理、案の提示、中間とりまとめ、閣議決定による方針の決定、国と地方の協議、法制上の措置という六つの段階のうち、どこまでが済んでいるかを示した図
  1. 社会保障国民会議の第1回会議が開かれた[2]

    この下に実務者会議と有識者会議が置かれました

  2. 有識者会議の第1回会議が開かれた[2][4]

    制度設計の論点を専門的・技術的な観点から整理する場と位置づけられています

  3. 衆議院

    財務金融委員会で内閣官房の政府参考人が、制度の政策目的として二点が指摘されていると答弁した[9]

    中低所得の現役世代の負担軽減を通じた所得再分配と、就労抑制効果の緩和を通じた就労促進の二点です

  4. 実務者会議の第11回会議で「中間とりまとめに向けた議論の整理」が示された[8]

    純負担率という考え方で受益と負担を分析する、という検討の視座が書かれています

  5. 実務者会議の第12回会議で制度の形を図にした資料が示された[7]

    所得が増えるにつれて支援額が立ち上がり、平らになり、やがて消えるという形が示されました

  6. 衆議院

    予算委員会で首相と国民会議の担当大臣が、対象者は決定されたものではないと答弁した[12][13]

    案が働く人に着目していることについて、働きたくても働けない人を外さないよう求める質疑がありました

  7. 実務者会議の第18回会議で「中間とりまとめ(案)(給付付き税額控除の本格導入部分)」が資料として配られた[6]

    この回の資料は、修正の跡を残した形のものでした

  8. 実務者会議の第19回会議で、同じ表題の資料と本格導入のイメージ図が配られた[3][4]

    この回の議事要旨は、2026年8月10日の時点で公表されています

  9. 「経済財政運営と改革の基本方針2026」が閣議決定された[1]

    給付付き税額控除とそのつなぎについて、8月上旬までを目途に方針を決定すると書かれています

  10. 実務者会議の第20回会議が開かれた[2]

    この回の議題は、つなぎとされている飲食料品の消費税率の部分でした

  11. 実務者会議の第21回会議に、中間とりまとめ案が配られた[2]

  12. 社会保障国民会議の第2回会議に「中間とりまとめ(案)」が資料として示された[34][33][39][40]

    午前9時からの実務者会議の第22回で案が確定し、午後2時59分からの親会議に示されました。本体の会議が開かれたのは2026年2月26日の第1回以来です。親会議では7党の代表が発言し、立憲民主党は中間とりまとめに反対、日本保守党は承服できないと述べています

  13. 「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針が閣議決定された[36]

    「中間とりまとめ(令和8年7月29日 社会保障国民会議)」を別紙として添え、その内容を十分尊重しつつ対応すると書かれています。この別紙には表題に「(案)」がありません

  14. 「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場の第1回が開かれた[37][38]

    政府側は全世代型社会保障改革担当大臣と関係5省庁の副大臣・政務官、地方側は全国知事会・全国市長会・全国町村会です。国と地方の役割分担や、事務執行のあり方を協議するとされています

国会での説明

国会でどう説明されたかを、会議録にもとづいて要約しています。発言をそのまま引き写してはいません。

  • 岡本利久政府参考人

    衆議院財務金融委員会

    有識者会議では制度の政策目的として大きく二点が指摘されていると説明しました。中低所得の現役世代の税・社会保険料負担の軽減を通じた所得再分配と、収入と手取りの関係の屈折による就労抑制効果の緩和を通じた就労促進の二点です。あわせて、制度横断的に給付と負担を総合的に捉え、所得の増に応じて純負担率を調整することに意義があるという指摘も出ていると述べました。[9]

  • 岡本利久政府参考人

    衆議院財務金融委員会

    まず給付だけで始めるほうが簡素ではないかという問いに対し、現時点で政府の考えを予断を持って答えることは差し控えるとしたうえで、有識者会議では令和6年の給付金と定額減税の一体措置で自治体に大きな事務負担が生じたことを踏まえ、事務の複雑化を避けるべきだという指摘が出ていると説明しました。諸外国には、当初は税額控除と給付を組み合わせて導入し、後に給付のみに改めた国もあると説明していることも述べています。[10]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    参議院予算委員会

    格差や貧困の状況を示す数値を挙げた質疑に答えるなかで、これから進める必要があるものとして、税や社会保険料の負担で苦しむ中所得・低所得の方々の負担を集中的に軽減する給付付き税額控除の実現を挙げ、社会保障国民会議で検討が進められていると述べました。[11]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    参議院決算委員会

    給付付き税額控除は新たな制度であるため、給付と負担の実態を踏まえた政策目的の整理に加え、既存の社会保障給付との整合性、安定財源の確保、円滑で公平な執行といった課題の検討を進める必要があると述べました。そのうえで、今後の制度設計次第だとしながら、できるだけ早期の実現が望ましい一方で、実施までに一定期間を要する可能性もある、と述べています。[14]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    衆議院予算委員会

    5月27日の実務者会議で示された案が中低所得の現役労働者に着目していることについて問われ、議長から示された議論の整理をもとに検討が進められている段階であり、対象者の範囲が決定されたものではないと述べました。範囲が限定されたとは聞いていない、とも述べています。[12]

  • 城内実国務大臣

    衆議院予算委員会

    国民会議を担当する立場から、議論の整理には、給付付き税額控除と既存の社会保障制度の双方から取り残される者が生じないようにすること、障害等の事情により就労に制約のある方や低所得の方に必要な支援が行き届くようにすることが重要だと書かれていると説明しました。そのうえで、現時点で対象者は決定されたものではないと述べています。[13]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    衆議院予算委員会

    病気や障害、介護などの事情で働きたくても働けない人を制度設計の最初の段階から対象に入れるよう求められ、質疑者の指摘はよく分かると述べました。国民会議では双方から取り残される者が生じないようにという議論が行われているため、その問題意識は共有されていると思う、としたうえで、自分が結論を先取りして決め打ちすることはしないし、してはいけないと述べています。[15]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    衆議院予算委員会

    平時は給付付き税額控除として動き、緊急時には迅速な給付の基盤にもなるよう整備してはどうかという提案に、大いに賛同すると述べました。過去の給付で自治体に大きな事務負担が生じたことに触れ、まずは既存の情報インフラを活用しつつ、情報連携やDX化で業務を効率化し、安定的かつ迅速な対応が可能になる社会インフラの整備を図ることが重要だ、と述べています。[16]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    衆議院予算委員会

    なぜ日本は中低所得者の純負担率が重いのかを問われ、有識者会議での議論や分析に基づく議論の整理では、共働き子育て世帯について、生活保護水準をやや上回る収入の世帯で純負担率が諸外国と比べて高くなっており、これは所得が低い層の社会保険料負担が重いことや子育て支援等の差が要因と考えられるとされていると承知している、と述べました。[17]

  • 上野賢一郎国務大臣

    参議院厚生労働委員会

    社会保障国民会議は直接の担当ではないという前提を置いたうえで、給付付き税額控除と食料品の消費税ゼロを同時並行で議論し、令和8年夏前を目途に中間とりまとめを行うとされていると承知していると述べました。消費税は社会保障の財源であるため、その観点からも注視しながら検討に協力したい、と述べています。[18]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    衆議院予算委員会

    議長案について、まだ国民会議での議論が進められている段階であり、今後、参加している各党の意見を踏まえて更に検討が進められるものと考えていると述べました。必要な方に十分な支援が迅速に届くものとなるよう議論が進むことを期待している、とも述べています。[19]

  • 高市早苗内閣総理大臣

    社会保障国民会議(第2回)

    会議の締めくくりで、給付付き税額控除についてはこれまで長い間議論が深められてこなかったとしたうえで、今回の中間とりまとめでは令和11年度から新たに導入する所得に連動したきめ細かな給付の内容を具体的に示してもらったと述べました。一律の金額での給付とは異なり、税・社会保険料の負担と現金給付を総合的に捉えて所得等に応じた支援を届ける点で画期的な意義があるとも述べています。将来目指すべき方向については各党で様々な意見があるとして、中間とりまとめに盛り込まれた将来の方向性を踏まえて検討を継続すると述べました[40]

会派ごとに示された主な論点

  • 中道改革連合・無所属

    英国が1999年に就労していることを厳格な条件として本格導入し、そのわずか4年後の2003年に働いているかどうかという線引きを撤廃した経緯を挙げ、日本はこれから創設するのだから、病気や障害、育児や介護などの事情で働きたくても働けない人を、制度設計の最初の段階から対象に入れるよう求めました。あわせて、平時に整う所得把握と給付の仕組みを、緊急時に迅速に支援を届ける基盤としても整備するよう求めています。[20][21]

  • 日本共産党

    制度を導入する理由が日本の中低所得者の純負担率の高さの改善にあるとしたうえで、そもそもなぜ日本は中低所得者の純負担率が重いのかを問いました。[22]

  • チームみらい

    税額控除の部分を行うには所得税のデータと社会保険のデータベースを横断して参照する必要があり業務上の負荷が大きくなるとして、まずは所得に連動した給付のみで制度を始めるほうが簡素なのではないかと問いました。公金受取口座など既存のインフラを活用して早く届けるべきだという考えも示しています。[23][24]

  • 国民民主党・新緑風会

    社会保険料の還付見合いで中低所得者に手当を支給するという自党の案を示し、国民会議の結論が出るまでには相当の時間がかかるため、緊急の経済対策としては結論を待っていては遅いという問題意識を述べました。[25][26]

  • 日本維新の会

    消費税減税と給付付き税額控除のどちらからも漏れる人が出ない制度設計が必要だと述べ、あわせて、高齢者数がピークを迎える2040年ごろを見据えた社会保障の全体像も、この会議で議論する対象に入っているのかを確認しました。[27]

  • れいわ新選組

    近年は税収が増えており国債発行額も減っているとして財政に余力があるのではないかと述べ、消費税減税と給付付き税額控除の双方を速やかに実施することは可能なのではないかと問いました。[28]

  • 公明党

    実務者会議に内閣から具体的な形のものが示されていないと述べ、首相が期間も税率も明言しているのに政党間の協議に委ねるのは政府としての責任感が感じられないのではないかとただしました。[29][30]

  • 参政党

    参議院の調査会での意見表明として、低所得であるがゆえに将来の年金や社会保障の仕組みからこぼれ落ちる人がいるとして、税による還付を社会保険料の拠出として位置づける仕組みを設けることができれば、目の前の生活を支えるだけでなく将来の年金受給や社会保障への包摂にも道を開けるという考えを述べました。[31]

  • 日本維新の会

    給付付き税額控除は日本の再分配の適正化という意味で非常に意義深いと述べ、給付のみならず税額控除と給付を適切に組み合わせたうえで制度設計を進めるよう強く求めました。年金制度や生活保護といった他のセーフティーネットとの関係を整理することも肝要だとし、執行については国が責任を負うという心意気でやるべきだとも述べています(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • 国民民主党

    給付付き税額控除の方向性には賛成だとしたうえで、給付のみで終わらず文字どおり給付と控除の組合せとなるよう引き続き検討すべきだと述べました。控除は所得税と住民税の控除になるため、人的控除の抜本見直しを踏まえたものにすべきだとも述べています。給付は国の責任でマイナポイントにより配ることを提案しました(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • 中道改革連合

    今回導入を目指す給付には賛同するが、あくまで本格的な給付付き税額控除への第一歩だとして、本格導入に向けた議論の場を継続するよう求めました。対象となる勤労者ができるだけ広くなることを望むとして、勤労性の所得の最低ラインは雇用保険の適用となる収入約53万円超で検討するよう述べています。病気や障害で働けない人など給付の対象外で支援が必要な人については、必要な対応のあり方を財源とともに検証し、可能なものについては令和11年度から併せて実施できるよう、本格導入までに結論を得るよう求めました(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • 立憲民主党

    中間とりまとめには反対だと述べました。理由として、中低所得の現役勤労者のみを対象とした制度であり低所得・無所得の人が対象から除外されていることを挙げています。また、この制度は税額控除のない就労促進のための給付措置であり、給付付き税額控除と呼ぶことは実態と著しく乖離して国民の誤解を招くため別の名称とすべきだとも述べました。そのうえで、今回の制度はあくまで今後に向けた第一歩であるとして、本格的な給付付き税額控除の早期導入に向けて議論を継続すべきであり、そのことを親会議として決定し有識者会議と実務者会議に諮問することを強く求めています(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • 公明党

    この中間とりまとめは給付付き税額控除の完成形ではなくまだ第一歩であり、引き続き議論を重ねることが必要だと述べました。所得把握の精度向上、現行制度では十分な支援が行き届いていない人への対応、働くことが困難な人への支援についても不断の検討が不可欠だとしています(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • チームみらい

    令和11年度からの恒久的な施策について、所得に連動したきめ細かな給付とこどもの人数に応じた加算を軸にまとめられたことは、かねてより主張してきた所得連動型給付と子育て支援と方向を同じくするものだとして評価すると述べました(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

  • 日本保守党

    中間とりまとめ案は2年数か月後から単なる給付を継続的に実施しようとするもので論外であり、到底賛成できないと述べました。本来目指すべきは給付付き税額控除だが、一旦取って配る給付よりも税額控除すなわち減税のほうが制度として優れているとしています。配偶者の給与所得は考慮する一方で金融所得や資産を考慮しない点も賛成できないと述べました(社会保障国民会議 第2回・党の代表の発言)[40]

まだ決まっていないこと

決まっていないことを「未定」とだけ書くのではなく、何が、どういう理由で決まっていないのかを、 公式記録で確認できた範囲で示しています。

給付の額検討中
中間とりまとめ案には、高齢化の状況や社会保障制度が各国ごとに異なることを踏まえつつ、純負担率の国際比較などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討すると書かれています。金額は書かれていません。[4]
給付を受けられる所得の水準検討中
給付に係る閾値となる所得水準についても、国際比較や諸外国の類似制度の対象者の所得の範囲などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討すると書かれています。[4]
対象とする勤労性の所得の基準検討中
中間とりまとめ案は、被用者保険の適用ラインを超える水準、給与所得0円超、雇用保険の適用ラインを超える水準という三つの意見があったと併記しています。どれを採るかは書かれていません。[4]
制度の名称検討中
一律の金額での給付とは異なることが国民に分かりやすく伝わるよう、実態に即した制度の名称とすることを含め必要な対応に努める、と書かれています。名称そのものは決まっていません。[4]
税額控除と給付を組み合わせるかどうか検討中
短期的には給付への一本化が望ましいという考え方が示された一方で、当初から組み合わせることが望ましいという意見や、将来的には組み合わせるべきだという考え方も強く示されたとして、将来的に給付のみと決め打ちすることなく検討を継続すると書かれています。[4]
財源検討中
恒久施策であるため一時財源ではなく恒久財源を確保する必要があるとし、特例公債に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しを通じて確保するとしたうえで、早期に結論を得ると書かれています。具体策は書かれていません。[4]
国と地方の役割分担検討中
国か地方かの二者択一ではなく協力して運営するという考え方のもと、全国一律のインフラ整備は国、住民との窓口は地方自治体を中心にという方向で検討を行うと書かれています。役割分担そのものは、国と地方の間の協議を経て決まるとされています。[4]
給付の対象外で支援が必要な人への対応検討中
低収入の現役世代や、就労意欲はあるものの病気や障害等で働けない人について、既存の制度での対応との関係を整理し、必要な対応のあり方を財源とともに検討して、本格導入までに結論を得ると書かれています。[4]
国と地方の役割分担の具体化協議中
基本方針は、国と地方の間の丁寧な協議を行ったうえで法制上の措置を講ずるとしています。その協議の場の第1回が2026年8月10日に開かれました。役割分担の具体的な内容は、この時点では決まっていません。[36][37]
法制上の措置未提出
令和11年度に導入することとし、そのために必要な法制上の措置を可及的速やかに講ずると書かれています。2026年8月10日の時点で、この制度に関する法案は国会に提出されていません。[36]
本丸とつなぎの関係政府の位置づけとして説明されている段階
2026年7月15日の党首討論で、内閣総理大臣はこの制度を本丸と呼び、飲食料品の消費税率の引下げは制度設計ができて給付が行われる状況になるまでのつなぎだと述べました。つなぎを2年間限定とする見通しについて自身の考えは変わらないとしたうえで、国民会議で議論中であるためこの場で断言はできないとも述べています。[35]
有識者会議第7回の議事要旨公表待ち
2026年8月11日の時点で、実務者会議は第22回(7月29日)まで議事要旨が、社会保障国民会議は第2回(同日)の議事録が公表されています。同じ時点で、有識者会議第7回(同日)の議事要旨は公表されていません。国と地方の協議の場 第1回(8月10日)も、公表されているのは議事次第と資料だけです。[2]
次に決まる場面
決める主体決める事項時期
国と地方(協議の場) 国と地方の具体的な役割分担、事務執行のあり方[36][37] 法制上の措置の前。第1回は2026年8月10日に開かれました
政府・国会 令和11年度の導入に必要な法制上の措置[36] 国と地方の協議を経たうえで、可及的速やかに講ずると書かれています
政府 給付の額と、給付に係る閾値となる所得水準[36] 恒久財源の確保とあわせて検討すると書かれています
政府 経過措置(つなぎ)の財源[36] 令和9年度予算編成プロセスにおいて結論を得ると書かれています
政府 給付の対象外で支援が必要な人への対応のあり方[4] 本格導入(令和11年度)までに結論
政府 就労していない高齢者などへの対応、第3号被保険者制度の見直しと被用者保険の適用拡大[4] 次期年金法改正が予定されている令和12年まで

補足

このページと「消費税減税」のページの関係

政府は、給付付き税額控除を改革の本丸、飲食料品の消費税率の引下げを、その実施までのつなぎと位置づけています。二つは同じ会議で議論されており、閣議決定された基本方針もまとめて扱っていますが、論点は別です。

  • このページが扱うのは、本丸とされている側です。令和11年度の導入を目指すとされ、金額と対象の水準が未定のまま残っています
  • つなぎとされている側は、飲食料品の消費税率を2年間だけ1%とする案です。こちらは別のページで扱っています

給付を配る土台として、公金受取口座が挙げられている

基本方針は、給付を配る仕組みについても書いています。実施主体の負担を減らすため国が前面に立つとしたうえで、公金受取口座の登録率が現状5割程度にとどまっているとして、国として登録率の向上を強力に推進し、この制度の受給ではその利用を原則としていく、と書かれています。

執行の主体は、国か地方自治体かの二者択一ではなく、全国一律のほうが効率的なインフラの整備は国、住民との窓口は地方自治体を中心にという方向で検討する、とされています。役割分担そのものは、国と地方の協議を経て決まります。

党首討論では「本丸」と「つなぎ」の関係が問われた

2026年7月15日の党首討論で、首相はこの制度を本丸と呼び、飲食料品の消費税率の引下げは、その制度設計ができて給付が行われる状況になるまでのつなぎだと述べました。つなぎを2年間限定とする見通しについて自身の考えは変わらないとしたうえで、国民会議で議論中であるため、この場で断言はできない、とも述べています。

会議録では「給付つき税額控除」と書かれています

政府の会議に配られた資料は「給付付き税額控除」と書き、国会の会議録は「給付つき税額控除」と書いています。同じものです。検索するときに結果が変わることがあるため、書き添えておきます。当サイトは、資料の表記に合わせて「給付付き税額控除」と書いています。

案の版が複数あります

同じ表題の「中間とりまとめ(案)」が、会議のたびに配られています。2026年7月13日の第18回会議、7月16日の第19回会議、7月22日の第20回会議(つなぎの部分のみ)、7月27日の第21回会議、7月29日の第22回会議と社会保障国民会議第2回です。第18回のものは修正の跡を残した形で、以後はそれを反映した形になっています。

なお、同じ7月29日の有識者会議第7回に配られた資料は、表紙に「第21回給付付き税額控除等に関する実務者会議(令和8年7月27日)資料2」と印刷されており、7月27日の版がそのまま配り直されたものです。日付が同じでも、中身が新しいとはかぎりません。

当サイトは、7月27日の版と7月29日の版を実際に読み比べました。修正の跡を残した版ではなく、書き替えられた別の版です。 加わったのは、総所得に金融所得や預金の利子所得、資産の保有状況を勘案することについて当初から導入すべきという意見があったという注記と、恒久的な減税を求める観点の意見に税率の水準や対象範囲についての記述です。一方で、削られた記述もあります。 段階的な精緻化について「可能な限り前倒しで導入することが望ましいとの意見があった」という注記は、7月29日の版にはありません。

そして2026年8月5日、表題から「(案)」が外れた「中間とりまとめ(令和8年7月29日 社会保障国民会議)」が、閣議決定された基本方針の別紙として添えられました。日付は7月29日のままです。

当サイトが根拠にしているのは、閣議決定された基本方針と、その別紙となった中間とりまとめです。

このページを書き加える条件

  • 有識者会議第7回(7月29日)の議事要旨が公表されたとき
  • 給付額や対象となる所得の水準について、公式に数値が示されたとき
  • 国と地方の協議の場で、役割分担について合意された内容が公表されたとき
  • 必要な法制上の措置として、法案が国会に提出されたとき

すでに満たされた条件は、次の二つでした。中間とりまとめが「(案)」の表題を外して公表されたこと(2026年8月5日・閣議決定の別紙として)と、2026年8月上旬までに方針が決まったこと(同日の閣議決定)です。

いずれも、公式の記録で確かめられた時点で書き加えます。会議録の公開には日数がかかるため、国会でのやり取りは少し遅れて反映されます。

給付付き税額控除についてよくある質問

給付付き税額控除とは何ですか?

税額から差し引く税額控除と、現金の給付を組み合わせた仕組みを指す言葉です。税額控除だけでは、納める税が少ない人には差し引く余地が小さくなるため、給付を組み合わせることで所得の低い人にも支援が届くようにする、という考え方にもとづいています。内閣官房の政府参考人は2026年4月22日の衆議院財務金融委員会で、有識者会議では政策目的として、中低所得の現役世代の税・社会保険料負担の軽減を通じた所得再分配と、就労抑制効果の緩和を通じた就労促進の二点が指摘されていると説明しました。[9]

2026年8月5日に決まったのは何ですか?

政府は「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針を閣議決定しました。制度導入のための環境を整えたうえで令和11年度(2029年度)に導入すること、その前の2年間を経過措置(つなぎ)として令和9年度に先行導入すること、対象と給付の形をどう組み立てるかが書かれています。金額と対象となる所得の水準は書かれていません。制度を実際に動かすには法律の改正が必要で、2026年8月10日の時点でその法案は国会に提出されていません。[36]

誰が対象になる案なのですか?

中間とりまとめ案は、個人単位とし単身者も含めるとしたうえで、一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人を対象とすると書いています。勤労性の所得には事業所得と給与所得に加えて業務に係る雑所得も含め、個人事業者やフリーランスも含めるとしています。就労して純負担が現役並みである中低所得の高齢者も対象とする、とも書かれています。ただし、その基準となる金額は決まっていません。[4]

いくら受け取れる案なのですか?

金額は示されていません。中間とりまとめ案には、純負担率の国際比較などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討すると書かれているだけです。形としては、勤労性の所得が一定の水準に達するまで給付額が増えていき、その後は定額となり、総所得が一定額を超えると減っていって消える、という形が示されています。[4][5]

働いていない人はどうなるのですか?

中間とりまとめ案は、勤労性の所得があることを対象の条件としています。そのうえで、低収入の現役世代や、就労意欲はあるものの病気や障害等で働けない人など、給付の対象外で支援が必要な人を丁寧に把握し、生活困窮者自立支援制度や障害者福祉といった既存の制度との関係を整理して、必要な対応のあり方を本格導入までに結論を得る、と書いています。国会では2026年6月4日の衆議院予算委員会で、この点を最初の段階から制度に含めるよう求める質疑があり、首相は問題意識は国民会議でも共有されていると述べました。[4][15]

名前に「税額控除」とありますが、給付だけなのですか?

そこも決まっていません。中間とりまとめ案は、短期的には給付への一本化が望ましいという考え方が示された一方で、当初から税額控除と給付を組み合わせることが望ましいという意見や、将来的には組み合わせるべきだという考え方も強く示されたとしています。そのうえで、将来的に給付のみと決め打ちすることなく検討を継続する、と書かれています。案の中で導入するとされているものの呼び名は「所得に連動したきめ細かな給付」です。[4]

財源はどうする案なのですか?

中間とりまとめ案は、恒久施策であるため一時財源ではなく恒久財源を確保する必要があるとし、市場の信認を損なうことのないよう特例公債に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しを通じて確保することとして、早期に結論を得ると書いています。どの財源をどれだけ充てるのかは書かれていません。[4]

食料品の消費税の引下げとは、どういう関係なのですか?

政府は給付付き税額控除を改革の本丸と位置づけ、飲食料品の消費税率の引下げを、その実施までのつなぎと位置づけてきました。2026年8月5日に閣議決定された基本方針は、この二つを一つの文書で決めています。経過措置として、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品にかかる消費税率を1%とし、あわせて消費税1%相当分の範囲内で給付を先行導入して、全体として飲食料品にかかる消費税の実質ゼロ化を実現する、という内容です。つなぎとされている部分については、別のページで扱っています。[36][32]

更新履歴

  • 7月29日の実務者会議第22回の議事要旨と、社会保障国民会議第2回の議事録が公表されたため、制度の本体について各党の代表が親会議で何を述べたかを、会派名を付けて追記しました。あわせて、内閣総理大臣の締めくくりの発言を追記しています。7月29日に開かれた三つの会議のうち、議事要旨が公表されていないのは有識者会議第7回だけになりました。なお、8月10日の国と地方の協議の場 第1回については、議事次第と資料だけが公表されています。
  • 2026年8月5日に「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針が閣議決定されたため、記事の状態を「案が示された段階」から「法案の提出前の段階」に改めました。閣議決定された基本方針を根拠に、決まったことと決まっていないことを整理し直しています。あわせて、中間とりまとめが表題から「(案)」を外して閣議決定の別紙となったこと、国と地方の協議の場の第1回が2026年8月10日に開かれたことを追記し、段取りの図を六つの段に描き直しました。
  • 2026年7月29日に社会保障国民会議(第2回)へ「中間とりまとめ(案)」が資料として示されたことを追記し、根拠とする案の版を第19回実務者会議のものから同会議のものへ改めた。案が「早期に導入することが望ましいとの結論を得た」と書いていること、公金受取口座の登録率が現状5割程度と書かれていることを本文に加えた。あわせて7月15日の党首討論で内閣総理大臣が本丸とつなぎの関係について述べた内容を追記した。
  • 初版公開。社会保障国民会議の実務者会議に配られた中間とりまとめ案と、閣議決定された基本方針、国会の会議録をもとに、示されている案の中身と、まだ決まっていないことを整理しました。

出典

事実の骨格は国会・官公庁の公式資料(一次情報)を根拠にしています。この記事の出典は、すべて国会・官公庁の公式資料です。 確認の方法は編集方針をご覧ください。

  1. 一次情報内閣府政府会議資料 経済財政運営と改革の基本方針2026(令和8年7月21日 閣議決定) 時点 / 確認
  2. 一次情報内閣官房政府会議資料 社会保障国民会議(開催状況一覧) 時点 / 確認
  3. 一次情報内閣官房政府会議資料 社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第19回)議事次第 時点 / 確認
  4. 一次情報内閣官房政府会議資料 中間とりまとめ(案)(給付付き税額控除の本格導入部分)(第19回実務者会議 資料2) 時点 / 確認
  5. 一次情報内閣官房政府会議資料 「所得に連動したきめ細かな給付」の本格導入のイメージ(中間とりまとめ(案))(第19回実務者会議 配布資料) 時点 / 確認
  6. 一次情報内閣官房政府会議資料 社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第18回)議事次第 時点 / 確認
  7. 一次情報内閣官房政府会議資料 給付付き税額控除のイメージ(中間とりまとめに向けた議論の整理(給付付き税額控除))(第12回実務者会議 資料2) 時点 / 確認
  8. 一次情報内閣官房政府会議資料 中間とりまとめに向けた議論の整理(給付付き税額控除)(第11回実務者会議 資料7) 時点 / 確認
  9. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第8号(2026年4月22日)政府参考人答弁(政策目的) 時点 / 確認
  10. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第8号(2026年4月22日)政府参考人答弁(給付のみとする案) 時点 / 確認
  11. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 予算委員会 第12号(2026年4月27日)内閣総理大臣答弁 時点 / 確認
  12. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)内閣総理大臣答弁(対象者は未定) 時点 / 確認
  13. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)内閣府特命担当大臣答弁 時点 / 確認
  14. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 決算委員会 第1号(2026年5月11日)内閣総理大臣答弁(実施までの期間) 時点 / 確認
  15. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)内閣総理大臣答弁(就労が困難な方) 時点 / 確認
  16. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)内閣総理大臣答弁(給付の基盤) 時点 / 確認
  17. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)内閣総理大臣答弁(純負担率) 時点 / 確認
  18. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号(2026年5月21日)厚生労働大臣答弁 時点 / 確認
  19. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第15号(2026年6月22日)内閣総理大臣答弁(議長案の受け止め) 時点 / 確認
  20. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)質疑(中道改革連合・無所属・英国の事例) 時点 / 確認
  21. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)質疑(中道改革連合・無所属・給付の基盤) 時点 / 確認
  22. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第14号(2026年6月4日)質疑(日本共産党) 時点 / 確認
  23. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第8号(2026年4月22日)質疑(チームみらい・給付のみとする案) 時点 / 確認
  24. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第8号(2026年4月22日)質疑(チームみらい・制度の基本的認識) 時点 / 確認
  25. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 決算委員会 第1号(2026年5月11日)質疑(国民民主党・新緑風会) 時点 / 確認
  26. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 決算委員会 第1号(2026年5月11日)質疑(国民民主党・新緑風会・結論までの時間) 時点 / 確認
  27. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第15号(2026年6月22日)質疑(日本維新の会) 時点 / 確認
  28. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 財政金融委員会 第11号(2026年6月16日)質疑(れいわ新選組) 時点 / 確認
  29. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 財政金融委員会 第11号(2026年6月16日)質疑(公明党・政府の責任) 時点 / 確認
  30. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 財政金融委員会 第11号(2026年6月16日)質疑(公明党・示された資料) 時点 / 確認
  31. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第5号(2026年6月10日)意見表明(参政党) 時点 / 確認
  32. 一次情報内閣官房政府会議資料 中間とりまとめ(案)(社会保障国民会議 第2回 資料1・2026年7月29日) 時点 / 確認
  33. 一次情報内閣官房政府会議資料 社会保障国民会議(第2回)議事次第(2026年7月29日) 時点 / 確認
  34. 一次情報内閣官房政府会議資料 「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(令和8年8月5日 閣議決定) 時点 / 確認
  35. 一次情報内閣官房政府会議資料 社会保障国民会議 第22回実務者会議 議事要旨(2026年7月29日) 時点 / 確認
  36. 一次情報内閣官房政府会議資料 第2回社会保障国民会議 議事録(2026年7月29日) 時点 / 確認
  37. 一次情報内閣官房政府会議資料 「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場の開催について(第1回 資料1・2026年8月10日) 時点 / 確認
  38. 一次情報内閣官房政府会議資料 「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場(第1回)議事次第(2026年8月10日) 時点 / 確認
  39. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 国家基本政策委員会合同審査会 第2号(2026年7月15日)内閣総理大臣答弁(本丸とつなぎ) 時点 / 確認
  40. 一次情報内閣官房政府会議資料 中間とりまとめ(案)「制度の経過措置(つなぎ)」部分抜粋(第20回実務者会議 資料2) 時点 / 確認