皇室成立

改正皇室典範とは?いつ成立し、何が変わるのか(10月24日施行)

塗りつぶした大きな枠の中に明るい二つの箱が並び、その下に破線を隔てて輪郭だけの帯が一本置かれている構図で、二つの措置が決まった一方で別の論点が枠の外に残っていることを表した抽象図

2026年7月17日、参議院本会議で皇室典範等の一部を改正する法律案が可決され、成立しました。7月24日に公布され、令和8年法律第66号となっています。

変わるのは二つです。一つは、内親王・女王が、天皇及び皇族以外の男子と婚姻しても皇族の身分を離れないこととすること。もう一つは、皇族が、皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である男子を、皇室会議の議を経て養子にできることとすることです。政府も立法府も、この二つを皇族数の確保の方策として説明してきました。

この法律には、作られ方にも特徴があります。内閣が自分の判断で立案したものではありません。衆参両院の正副議長のもとで各党・各会派が10回の全体会議を重ね、2026年6月10日に「立法府の総意」として取りまとめたものを受けて、政府が法律案を作成し、6月30日に国会へ提出しました。

一方で、この法律が変えなかったことも、はっきりしています。皇位を継承する資格を定める皇室典範第1条は、そのままです。参議院の特別委員会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について引き続き検討するという附帯決議を付けました。

このページでは、何が決まり、何が決まっていないのかを、国会と政府の公式記録にもとづいて整理します。皇位継承の是非について、当サイトは立場を示しません。

改正皇室典範の基本的事項

皇族数の確保という目的の下に、婚姻後も皇族の身分を保つしくみと養子のしくみという二つの措置が並び、皇位継承の資格そのものはこの改正の外側に置かれていることを示した関係図
皇族数の確保という目的の下に、婚姻後も皇族の身分を保つしくみと養子のしくみという二つの措置が並び、皇位継承の資格そのものはこの改正の外側に置かれていることを示した関係図

変更点① 内親王・女王が、婚姻によって皇族の身分を離れないこと

これまでの皇室典範第12条は、皇族女子が天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは皇族の身分を離れる、と定めていました。改正法はこの規定を削り、内親王・女王については、婚姻によって皇族の身分を離れないこととしました。婚姻には皇室会議の議を経ます。

あわせて、独立の生計を営む内親王・女王に対する皇族費が、独立の生計を営む親王・王に対する皇族費の2分の1に相当する額から、同額に引き上げられます。金額の根拠となる規定は皇室経済法にあり、今回の改正で同法も改められました。

経過措置も置かれました。法律の附則第2条は、施行の際に内親王・女王である方については、その意思により、天皇及び皇族以外の男子との婚姻と同時に皇族の身分を離れることができると定めています。この場合、婚姻について皇室会議の議を経ることはありません。衆参の正副議長がまとめた取りまとめも、現在の内親王殿下、女王殿下が、婚姻後は皇籍を離脱するという現行制度の下で人生を歩んでこられたことに鑑み、経過措置として意向を尊重するなど一定の配慮を求めていました。

変更点② 皇族の養子

改正法は、皇室典範の本則に「第六章 養子皇族男子」を加えました。親王、親王妃、内親王、王、王妃、女王(皇嗣と皇嗣妃を除く)は、皇室会議の議を経て、皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である男子を養子にすることができます。対象は、現に皇族でない、15歳以上、配偶者と子がない男子に限られます。養子となった男子は、縁組の時から皇族となります。

「立法府の総意」は、この対象を、1947年(昭和22年)10月に皇籍を離脱した、いわゆる旧11宮家の皇族男子の子孫である男系の男子とし、本人の意思を考慮した養子となりうる者の年齢、養親となりうる者の範囲、具体的な手続などの要件を慎重に制度設計するとしていました。

この法律が変えなかったこと — 皇位を継承する資格

皇室典範第1条は、皇位は皇統に属する男系の男子が継承すると定めています。今回の改正は、この規定を変えていません。

2026年3月16日の参議院予算委員会で、内閣官房の担当者は、有識者会議の報告が示した三つの方策——内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、皇族に認められていない養子縁組を可能とし皇統に属する男系の男子を皇族とすること、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること——について、いずれも皇族数の確保という観点から提言されたものだと答弁しました。同じ質疑のなかで、これは皇位継承策ではないのかと問われ、担当者は皇族数の確保であると答えています。

皇族数の確保皇位継承資格者の確保は、似ていますが別の問題です。前者は、皇室の活動を担う皇族の人数が減っていくことへの対応です。後者は、皇位を継ぐ資格を持つ方をどう確保するかという問題です。

同じ日、内閣総理大臣は、現行の皇室典範の下では女性天皇は認められないと答弁しました。また、有識者会議の報告が内親王・女王の婚姻後の身分保持を打ち出す一方で、女系継承となることへの懸念などから、その配偶者と子は皇族の身分を有しないこととしていることを説明しています。

なお、女性天皇女系天皇は別の言葉です。女性天皇は、天皇が女性であることを指します。女系天皇は、父方をたどっても天皇に行きつかない、母方の系統によって皇統につながる天皇を指します。性別の話と系統の話という、別のことがらです。歴史上の女性の天皇は、いずれも父方をたどると天皇に行きつく男系でした。この二つの是非について、当サイトは立場を示しません。

養子となった男子と、その子孫 — 条文の書きぶりが分かれている

参議院が公表している議案要旨は、養子となって皇族となった男子(養子皇族男子)は皇位継承資格を有しない、と記しています。法律の条文でも、養子皇族男子については、皇位継承の順序を定める皇室典範第2条の規定を適用しないと定められています。

一方で条文は、養子皇族男子の子孫に係る第2条の規定の適用については、実方の系統によるものとする、とも定めています。本人と子孫とで、書きぶりが分かれています。

「立法府の総意」は、慎重に制度設計すべき要件の一つとして、養子となって皇族となられた方が皇位継承資格を持たないこととすることを挙げていました。その子孫については記していません。

2026年7月17日の内閣総理大臣の記者会見では、記者から、取りまとめには無かった内容として、養子のもとに生まれた男子が皇位継承資格を持つことが明記された、という指摘が出ました。内閣総理大臣は、取りまとめに沿って忠実に法律案を作成して国会に提出したと述べ、安定的な皇位継承に関する今後の議論については立法府の意思を尊重して対応すると答えています。

立法府が先に決め、政府が後から書いた

この法律の作られ方は、ふつうの内閣提出法案と順序が違います。

出発点は、2017年に成立した天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対する附帯決議です。ここで皇族数の確保などが検討課題として示されました。政府の有識者会議が2021年に報告を取りまとめ、2022年1月に、その報告が内閣総理大臣から衆参の正副議長に伝えられます。以後、正副議長のもとで2024年から2026年にかけて10回の全体会議が開かれ、各党・各会派からの個別の意見聴取も行われました。

2026年6月10日、その結果が「立法府の総意」として取りまとめられ、内閣総理大臣に手交されます。取りまとめは、はじめに、天皇陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次の世代の悠仁親王殿下へという皇位継承の流れを揺るがせにしてはならないことを、立法府としても確認する、と記しました。そのうえで、有識者会議の報告の第1案と第2案をいずれも了とし、この取りまとめを基に法制化することを求めています。

取りまとめは政府に対し、直ちに法律案の立案に着手すること、骨子ができた段階で衆参の正副議長に事前に報告すること、要綱ができた段階で全体会議の場で各党・各会派に説明することも求めていました。実際、6月19日に内閣官房長官が骨子を正副議長に説明し、要綱を作成するよう指示を受けたと、内閣総理大臣が6月22日の衆議院予算委員会で答弁しています。同じ答弁で、その日のうちに要綱を正副議長に示すこととなっているとも述べました。法律案が国会に提出されたのは6月30日です。

参議院で分かれた賛否と、否決された修正案

参議院本会議の採決は押しボタン方式で、投票総数241のうち賛成184、反対57でした。会派ごとの内訳は、このページの「賛否・論点の整理」の表をご覧ください。

これに先立つ7月16日、参議院の特別委員会では、立憲民主・無所属が修正案を提出し、否決されています。修正案は、養子に関する規定(皇室典範の本則に一章を加える改正規定など)を削ること、施行までの期間を三月から一年に改めること、内親王・女王が天皇及び皇族以外の男子と婚姻した場合に、その男子と直系卑属が皇族の身分を有することとするかどうかを公布後速やかに検討し、施行の日までに必要な関係法律の整備を行うこと、を内容としていました。

衆議院の記録では、賛成した会派は自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党で、反対した会派は日本共産党です。参議院と衆議院では会派の構成そのものが異なるため、両院の記録をそのまま並べて比べることはできません。

参議院の特別委員会の会議録は、2026年8月10日に確認した時点で第1回から第4回まで公開されていました。 7月15日の質疑と、7月16日の討論・採決の内容が読めるようになったため、参議院の会派ごとの理由をこのページに掲載しています。ただし参議院本会議の会議録は、同じ時点でまだ公開されていません。

参議院では、どんな理由が述べられたか

7月16日の特別委員会では、立憲民主・無所属が修正案の趣旨を説明したあと、討論が行われました。討論に立ったのは8会派です。

賛成の側では、自由民主党・無所属の会が、皇族方の公務負担の軽減と皇統の安定的・永続的な継承を図るために各党各会派と有識者が長期間にわたり議論を重ねてきたことに敬意を表しました。国民民主党・新緑風会は、皇族数の減少を現実的な危機として受け止め、議論を先延ばしせず現実的な解決策を導くべきだと主張してきたと述べています。日本維新の会は、皇族が置かれた環境の静ひつさが保たれ、女性皇族の方々の意向が尊重されることが大切だとしました。参政党は、養子皇族男子の子の扱いと、内親王・女王の配偶者や子が皇族とならないことが明確になったことで、男系継承がより安定的に確保されたと評価しています。公明党は賛成の立場を示しつつ、参議院の窮屈な審議日程が法律案を政局の渦中に置いたとして、政権与党に反省を求めました。

反対の側では、立憲民主・無所属が、旧十一宮家からの養子とその子孫の皇位継承資格については合意されていないとして、養子に関する規定を削る修正案を提出したと説明しました。日本共産党は、男系男子の継承に固執することは女性差別を助長し、旧十一宮家の男系男子を養子の候補とすることは憲法第14条第1項が禁じる門地による差別に抵触すると主張しました。れいわ新選組は、国連が皇位継承における男女平等の確保を勧告するなかで、日本は関連する条約について皇位継承を例外とする留保を行っておらず、国内法を理由に条約上の義務を免れることはできないと述べています。

討論を行わなかった会派もあります。 沖縄の風、社会民主党、日本保守党の議員は、前日7月15日の質疑に委員以外の議員として参加し、それぞれの考えを述べました。沖縄の風は審議が尽くされていないとして皇室の方々の考えを確認したのかをただし、社会民主党は女性天皇を認めない理由を繰り返したずねています。日本保守党は、養子の案には賛成してきたが女性皇族が婚姻後も皇族として残る案には賛成できないと述べました。チームみらい・無所属の会と、各派に属しない議員の発言は、この委員会の会議録では確認できていません。

会派ごとの発言は、このページの「会派ごとに示された主な論点」に会派名を付けて掲載しています。

衆議院では、どんな理由が述べられたか

法律案を審査したのは衆議院の議院運営委員会です。2026年7月10日、質疑のあと各会派が採決に先立つ発言を行い、委員会は法律案と附帯決議案を可決して、その日の本会議に緊急上程することを決めました。

賛成の側からは、皇族数の確保は先延ばしできない課題であり、養子の対象を旧十一宮家の男系男子孫とすることは歴史的経緯から適切だという主張が出ました。実現可能な改善策から先に実現し、状況の変化に応じて改善を重ねていくという考え方も示されました。皇室の伝統の重みの前では謙虚でありたい、という発言もありました。ただし賛成の側にも注文はあり、今回は皇族数の確保の議論だったにもかかわらず、取りまとめに無い養子の子孫の皇位継承資格が十分な説明のないまま法文から読み取れるようになったのは遺憾だ、という発言が出ています。養子となり得る者の年齢を15歳以上とすることには最後まで反対してきた、という発言もありました。

反対の側からは、女性天皇を認めるべきだという意見が世論調査で多数を占めるにもかかわらず議論が棚上げされている、養子の子孫が皇位継承資格を持つという内容は全体会議で説明がなく法律案の段階で盛り込まれた、天皇の制度は憲法の条項と精神にもとづいて広く国民的に議論する必要がある、という主張が示されました。

チームみらいは、採決にあたって党議拘束をかけませんでした。 国民の総意に基づく地位のあり方を論じる案件では、議員一人ひとりの判断を一律に縛る性質のものではない、という理由です。衆議院事務総長は本会議への緊急上程を報告する際、この会派が党議拘束をかけていないことを述べています。

会派ごとの発言は、このページの「会派ごとに示された主な論点」に会派名を付けて掲載しています。

政府は、第38条第6項をどう説明したか

このページの冒頭で触れた、養子皇族男子の子孫に第2条(皇位継承の順序)を適用する際は実方の系統による、という第38条第6項について、内閣官房長官は衆議院の議院運営委員会でくり返し説明しました。

説明の骨子は二つです。第一に、養子の子孫について正副議長の取りまとめに記述がない以上、現行の皇室典範にもとづいて判断することになり、養子となった皇族男子の男子孫は生まれながらの皇族であるため、第1条と第2条によって皇位継承資格を持つことになる。第二に、第38条第6項は、該当する方が複数いた場合に順序に紛れが生じないようにするための規定であって、新たに何かをつくり出す規定ではない。内閣官房長官は、これは創設的な規定ではないと述べ、附則第6条にもとづく立法府の将来の検討を先取りしたり縛ったりする趣旨ではない、とも繰り返しました。

衆議院法制局の特別参与は、養子皇族男子の子孫の皇位継承資格に関する論点は、正副議長が各党・各会派に求めた附帯決議案の第1項目と第3項目で読み込める、と答弁しています。

附帯決議 — 引き続き検討する、と書かれたこと

参議院の特別委員会は、可決にあたって3項目の附帯決議を付けました。

  1. 改正後の皇室典範等の施行状況を踏まえるにあたっては、皇族の方々を取り巻く環境その他皇室の状況についても勘案し、必要があると認められるときは適時適切な措置を講じること
  2. 附則第6条第2項にもとづく30年ごとの見直しにあたっては、改正後の皇室典範第38条に定める養子皇族男子の方々を取り巻く環境その他の皇室の状況等について勘案し、必要があると認められるときは所要の措置を講じること
  3. 改正後の皇室典範等による皇族数の確保の状況等を踏まえ、安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き検討すること

3項目めは、衆参の正副議長の取りまとめが、附帯決議で確認するよう各党・各会派に要請していた内容でもあります。

ただし、附帯決議も全会一致ではありません。 提出したのは自由民主党・無所属の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会、参政党の5会派の共同提案で、委員長は起立多数と認めて委員会の決議としています。法律案に反対した会派も含めて一つにまとまった、というものではありません。決議を受けて、内閣官房長官がその趣旨を尊重すると述べました。

同じ内容の附帯決議は、これに先立つ7月10日、衆議院の議院運営委員会でも可決されています。

いつから変わるのか

法律の附則第1条は「公布の日から起算して三月を経過した日から施行する」と定め、ただし書で、附則第5条及び第7条の規定は公布の日から施行するとしています。公布は2026年7月24日ですから、大部分の規定は2026年10月24日に施行されます。この日付は、政府が法令データを公開しているe-Gov法令検索の改正沿革でも確認できます。

公布の日から施行された附則第5条は、経過措置を政令に委ねる規定です。附則第7条は、行政手続法の一部改正です。

示されている数値

数値は「決定したもの」「案として示されたもの」「試算」を区別して掲載しています。 位置づけの欄をあわせてご覧ください。

示されている数値
項目数値位置づけ
参議院本会議の投票総数 241(賛成184・反対57)[2] 決定
衆参の正副議長の下で開かれた全体会議 10回[7] 決定
参議院特別委員会の附帯決議の項目数 3項目[5] 決定
見直しの間隔(附則第6条第2項) 30年ごと[4] 決定

国会での議論の動向

立法府の総意の取りまとめから内閣による提出、先議院での可決、後議院の特別委員会での可決と成立、公布、施行までの段階を示した流れ図
立法府の総意の取りまとめから内閣による提出、先議院での可決、後議院の特別委員会での可決と成立、公布、施行までの段階を示した流れ図
  1. 両院

    天皇の退位等に関する皇室典範特例法が公布される(平成29年法律第63号)[15][8]

    内閣総理大臣は2026年7月17日の記者会見で、この法律案に対する附帯決議に示された課題について、令和3年に政府の有識者会議報告が取りまとめられたと述べている

  2. 参議院

    予算委員会で、政府が有識者会議の三つの方策を説明[9]

    内閣官房の担当者は、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、養子縁組を可能とすること、法律により直接皇族とすることの三つを挙げ、いずれも皇族数の確保の観点から報告書が提言したものだと答弁した

  3. 参議院

    予算委員会で、内閣総理大臣が国会での議論の進展に期待を表明[10]

    退位特例法の附帯決議で示された課題は先送りできない喫緊のものであるとしたうえで、国会の議論を経て政府として速やかに法改正に取り組みたいと答弁した

  4. 両院

    衆参の正副議長が「立法府の総意」を取りまとめ、内閣総理大臣に手交[7]

    令和4年1月に政府の検討結果の報告を受けて以降、10回の全体会議と各党・各会派からの個別の意見聴取を重ねた結果として取りまとめられた

  5. 衆議院

    予算委員会で、内閣総理大臣が法律案の準備状況を説明[11]

    6月19日に内閣官房長官が法律案の骨子を衆参の正副議長に説明し、要綱を作成するよう指示を受けたこと、6月22日に要綱を示すこととなっていることを答弁した

  6. 衆議院

    内閣提出の法律案として提出[1]

    衆議院が先に審議する「衆先議」の扱い。同じ日に参議院も予備審査のため議案を受理した

  7. 衆議院

    議院運営委員会に付託[1]

  8. 衆議院

    議院運営委員会で可決し、本会議でも可決[3]

    採決態様は多数、採決方法は起立。衆議院の記録では、賛成した会派は自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党で、反対した会派は日本共産党

  9. 参議院

    皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会が発足[14]

    議長が指名した25名の委員で構成され、この日の第1回で委員長が互選された。議案の付託はこの4日後

  10. 参議院

    皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会に付託[1]

  11. 参議院

    特別委員会で質疑[17]

    内閣官房長官に対する質疑が行われた。委員以外の議員として、沖縄の風、社会民主党、日本保守党の議員も発言した

  12. 参議院

    特別委員会で可決。修正案は否決され、3項目の附帯決議を付した[5]

    立憲民主・無所属が提出した修正案は否決された。附帯決議は、施行状況を踏まえる際に皇族の方々を取り巻く環境なども勘案すること、30年ごとの見直しの際に養子皇族男子の方々を取り巻く環境なども勘案すること、安定的な皇位継承を確保するための方策を引き続き検討することの3項目

  13. 参議院

    本会議で可決し、成立[2]

    押しボタン採決。投票総数241、賛成184、反対57

  14. 両院

    公布(令和8年法律第66号)[1]

    附則第5条(政令への委任)と附則第7条(行政手続法の一部改正)はこの日から施行された

国会での説明

国会でどう説明されたかを、会議録にもとづいて要約しています。発言をそのまま引き写してはいません。

  • 内閣官房の担当者政府参考人

    参議院予算委員会

    有識者会議の報告が示した三つの方策について、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、皇族に認められていない養子縁組を可能とし皇統に属する男系の男子を皇族とすること、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすることの三つであると説明し、いずれも皇族数の確保という観点から提言されたものだと答弁した[9]

  • 高市早苗内閣総理大臣自由民主党・無所属の会

    参議院予算委員会

    現行の皇室典範は皇位を皇統に属する男系の男子が継承すると定めており、その下では女性天皇は認められないと答弁した。また、有識者会議の報告は内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することを打ち出しているが、女系継承となることへの懸念などから配偶者と子は皇族の身分を有しないこととしていると説明した[9]

  • 木原稔内閣官房長官自由民主党・無所属の会

    衆議院内閣委員会

    所信のなかで、安定的な皇位継承等は国家の基本に関わる重要な課題であるとし、国会において皇室典範の改正に向けた議論が深まることを期待する、政府としてはそれを踏まえて速やかに対応すると述べた[12]

  • 高市早苗内閣総理大臣自由民主党・無所属の会

    衆議院予算委員会

    6月10日に衆参の正副議長から議論の取りまとめを受け取ったことに敬意を表したうえで、6月19日に内閣官房長官が法律案の骨子を正副議長に説明し、要綱を作成するよう指示を受けたと説明した。取りまとめにあるプロセスに従って立案作業を進めると答弁した[11]

  • 木原稔内閣官房長官自由民主党・無所属の会

    参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会

    なぜ女性天皇が認められないのかをたずねられ、日本国憲法第2条が、皇位は世襲のものであって国会の議決した皇室典範の定めるところにより継承すると定め、その皇室典範第1条が、皇位は皇統に属する男系の男子が継承すると規定していると答弁した。あわせて、令和3年の有識者会議の報告を尊重しているとし、次世代の皇位継承者がいるなかで仕組みに大きな変更を加えることには十分慎重でなければならないという報告の内容などを踏まえて法律案を提出したと述べた[17]

  • 木原稔内閣官房長官自由民主党・無所属の会

    参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会

    皇室の方々の考えを確認したのかをたずねられ、宮内庁において、有識者会議の報告、国会での議論の状況、衆参の正副議長による議論のとりまとめの内容、法律案の内容について、天皇陛下をはじめ皇室の方々にしかるべく報告したと答弁した[17]

会派ごとに示された主な論点

  • 立憲民主・無所属

    有識者会議の三つの方策のうち養子の案だけを先に進めるのではなく、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する案も同時に進めるべきだと述べ、より広く皇族数の確保を図ることができると指摘した(法律案の提出前の質疑)[9]

  • 自由民主党・無所属の会

    皇族に認められていない養子縁組を可能とし皇統に属する男系の男子を皇族とする案が最重要であるとし、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することも重要だが、その配偶者と子については皇族の身分を持たないこととする必要があると述べた(法律案の提出前の質疑)[9]

  • 日本維新の会

    全体会議が再開されたことに触れ、退位特例法の附帯決議から9年、有識者会議の報告から4年半が経つとしたうえで、衆参の正副議長の下での取りまとめが速やかに行われるよう求めた(法律案の提出前の質疑)[10]

  • 中道改革連合・無所属

    皇室典範の改正は与野党のできるだけ広い合意を形成して静ひつな環境で進めるべきであり、国論を二分するような形で行うべきではないと述べた(法律案の提出前の質疑)[13]

  • 自由民主党・無所属の会

    皇族数の確保は喫緊の課題であるとしたうえで、養子の対象を旧十一宮家の男系男子孫とすることは歴史的経緯から適切であり、養子本人が皇位継承資格を持たないことや地位を実方の系統で判断することによって、旧皇室典範が養子を禁じた理由への懸念にも応えていると述べ、賛成の立場を表明した(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 中道改革連合・無所属

    賛成の立場を示しつつ、今回は皇族数の確保の議論だったにもかかわらず、取りまとめに無い養子の子孫の皇位継承資格が十分な説明のないまま法文から読み取れるようになっており、立法府の総意の枠を超える内容が残ったことは遺憾だと述べた(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 日本維新の会

    賛成の立場から、皇室が古来男系で受け継がれてきた伝統の重みに謙虚であるべきだと述べた。質疑では、養子となり得る者の年齢を15歳以上とすることに最後まで反対してきたとし、年齢制限は候補となる方への中傷や妨害のリスクを高めうるという専門家の指摘があると述べた(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 国民民主党・無所属クラブ

    賛成の立場から、実現可能な改善策から速やかに実現し、状況の変化に応じて改善を重ねるべきだと述べた。あわせて、皇位の安定継承を確保する方策は今回の改正に含まれておらず、立法府が引き続き負う宿題であると述べた(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 参政党

    賛成の立場から、皇室は日本が受け継いできた精神文化の根幹であり、その歴史を未来へ継承することは現在を生きる者の責任であると述べた。質疑では、皇族となられた方が新たな環境に適応できるよう政府としてどう担保するのか、当事者と家族のプライバシーをどう保護するのかをただした(衆議院議院運営委員会)[16]

  • チームみらい

    国民の総意に基づく地位を論じる案件では議員一人ひとりの判断を一律に縛る性質のものではないとして、採決にあたって党議拘束をかけないことを表明した。質疑では、養子皇族男子の子孫に関する第38条第6項が現行の解釈を明確化した確認的な規定であることを政府に確認した(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 日本共産党

    反対の立場から、女性天皇を認めるべきという意見が世論調査で多数であるにもかかわらず議論が棚上げされていると述べ、養子の子孫が皇位継承資格を持つという内容は全体会議で説明がなく法案の段階で盛り込まれたと指摘した。天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的な議論をすべきだとも述べた(衆議院議院運営委員会)[16]

  • 立憲民主・無所属

    修正の動議の趣旨説明では、旧十一宮家から養子を受け入れその子孫が皇位継承の資格を有することについては合意されていないと述べ、養子に関する改正規定を削り、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する改正のみを行う修正案を提出したと説明した。続く討論では、原案に反対、自会派の修正案に賛成の立場を示し、会期末の日程のなかで審議が短時間で終わったことへの違和感を述べた(参議院特別委員会・修正案の趣旨説明および討論)[18]

  • 自由民主党・無所属の会

    賛成の立場から、皇族方の公務負担の軽減と皇統の安定的・永続的な継承を図るため、衆参の正副議長をはじめ各党各会派や有識者が長期間にわたり議論を重ねてきたことに敬意を表すと述べた。今後も環境の変化に伴い、安定的な皇位継承の確保のために検討する機会があるだろうとも述べた(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 日本共産党

    反対の立場から、女性天皇・女系天皇を認めるべきだという世論があるなかで短い質疑で採決すべきではないと述べた。男系男子の継承に固執することは日本社会における女性差別を助長する、旧十一宮家の男系男子を将来にわたる養子の候補とすることは憲法第14条第1項が禁じる門地による差別に抵触する、女性皇族の配偶者と子に皇族の身分を与えないことは女系天皇の可能性を閉ざすものだ、と主張した(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 国民民主党・新緑風会

    政府提出の法律案に賛成、修正案に反対の立場から討論した。皇族数の減少を現実的な危機として重く受け止め、議論を先延ばしせず現実的で建設的な解決策を導くべきだと一貫して主張してきたと述べた。女性皇族の婚姻後の身分保持は皇室の活動基盤を維持するうえで不可欠であり、養子の制度については様々な意見があると承知しつつ、現実的な選択肢を講じておく必要があると述べた(参議院特別委員会・討論)[18]

  • れいわ新選組

    原案・修正案のいずれにも反対の立場から、国連が皇位継承における男女平等の確保を勧告するなかで提出された法律案は、国際規範との間に溝を残したままだと述べた。日本は関連する条約について皇位継承を例外とする留保を行っておらず、国内法を理由に条約上の義務を免れることはできないと主張した(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 公明党

    賛成の立場から討論したが、まず、参議院の窮屈な審議日程が法律案を政局の渦中に置いたとして政権与党に反省を求めた。そのうえで、正副議長がまとめた立法府の総意を超えているのではないかという国民の懸念も真摯に受け止めているとし、質疑で政府と法制局に確認した結果、今回の法律案が皇位継承制度に関する今後の議論を拘束するものではないことが確認できたと述べた(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 日本維新の会

    賛成の立場から、皇族数の確保は先延ばしできない重要な課題であり、退位特例法の附帯決議から9年が経つと述べた。施策を安定的に進めるためには、皇族が置かれた環境の静ひつさが保たれ、現行制度の下で歩んでこられた女性皇族の方々の意向が尊重されること、養子縁組による新しい関係が平穏な環境で形づくられることが大切だと述べ、国民の理解を促す努力を政府に求めた(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 参政党

    賛成の立場から、日本の皇室は父親の血筋すなわち男系で皇位をつないできたとし、女系天皇の容認は王朝の交代につながると考えられてきたと述べた。今回の改正で、養子皇族男子の子が男子であった場合の皇位継承資格の扱いと、内親王・女王の配偶者や子が皇族とならないことが明確になり、皇位の男系継承がより安定的に確保されたと評価した(参議院特別委員会・討論)[18]

  • 沖縄の風

    委員以外の議員として質疑で発言した。戦後初めての本則の改正であるにもかかわらず、参考人招致など重要法案としての審議が尽くされていないと述べ、皇室の方々の考えを確認したのかをただした。憲法は皇位を世襲とのみ規定して女性への継承を排除していないとして、女性・女系について議論しない合理的な根拠を示すよう求めた(参議院特別委員会・質疑)[17]

  • 社会民主党

    委員以外の議員として質疑で発言した。女性天皇・女系天皇を認めるべきだという立場から、なぜ女性天皇が認められないのかを繰り返したずねた。また、養子は皇位継承の順序を定める規定の適用外とされているのに、その子には適用されるのはおかしいと述べた(参議院特別委員会・質疑)[17]

  • 日本保守党

    委員以外の議員として質疑で発言した。旧宮家から男系男子の子孫を養子に迎える案には一貫して賛成してきたが、女性皇族が婚姻後も皇族として残る案には賛成できないと述べた。理由として、将来その子に皇族の身分を与えるべきだという意見が出て、女系天皇につながる可能性を挙げた(参議院特別委員会・質疑)[17]

賛否・論点の整理

当サイトはいずれの立場も取りません。採決の賛否は公式記録の会派別集計を、主張の内容は会議録に残された発言を、 それぞれ出典を示して並べています。議員個人の投票は 編集方針に記した理由により掲載していません(公式ページで確認できます)。

賛成の立場

  • 自由民主党・無所属の会・国民民主党・新緑風会・公明党・日本維新の会・参政党・チームみらい・無所属の会・各派に属しない議員の一部

    2026年7月16日の参議院特別委員会では、自由民主党・無所属の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会、参政党の5会派が賛成の討論を行いました。述べられた理由は会派ごとに異なり、内容はこのページの下部にある論点の欄に会派名を付けて掲載しています。チームみらい・無所属の会と、各派に属しない議員については、この委員会での発言を確認できていません。[18]

    会派別の賛否[2]
    会派所属賛成反対投票なし
    自由民主党・無所属の会 101 98 0 3
    国民民主党・新緑風会 25 25 0 0
    公明党 21 21 0 0
    日本維新の会 19 19 0 0
    参政党 15 15 0 0
    チームみらい・無所属の会 2 2 0 0
    各派に属しない議員 6 4 1 1

反対の立場

  • 立憲民主・無所属・日本共産党・れいわ新選組・沖縄の風・社会民主党・各派に属しない議員の一部

    2026年7月16日の参議院特別委員会では、立憲民主・無所属、日本共産党、れいわ新選組の3会派が反対の討論を行いました。述べられた理由は会派ごとに異なり、内容はこのページの下部にある論点の欄に会派名を付けて掲載しています。沖縄の風と社会民主党は討論を行っていませんが、前日の質疑で発言しており、同じ欄に掲載しています。各派に属しない議員については確認できていません。[18]

    会派別の賛否[2]
    会派所属賛成反対投票なし
    立憲民主・無所属 40 0 40 0
    日本共産党 7 0 7 0
    れいわ新選組 5 0 5 0
    沖縄の風 2 0 2 0
    社会民主党 2 0 2 0

まだ決まっていないこと

決まっていないことを「未定」とだけ書くのではなく、何が、どういう理由で決まっていないのかを、 公式記録で確認できた範囲で示しています。

安定的な皇位継承を確保するための方策引き続き検討
参議院の特別委員会は、改正後の制度で皇族数の確保がどこまで進むかを見たうえで、安定的な皇位継承をどう確保するかを引き続き検討する、という趣旨の附帯決議を付けました。今回の改正は、皇位を継承する資格そのものについての規定を変えていません。[5]
施行の状況を踏まえた見直し期限のない検討条項
法律の附則第6条は、改正後の規定について施行の状況を踏まえて所要の検討を加えることとし、その際は皇族数の確保の状況等を勘案して、必要があれば30年ごとに見直しを行うと定めています。最初の見直しの時期は決められていません。[4]
婚姻した内親王・女王の配偶者と子の身分今回の改正では扱われていない
法律は、内親王・女王が婚姻しても皇族の身分を離れないこととする一方で、その配偶者と子を皇族とする規定を置いていません。参議院の特別委員会では、この点について公布後速やかに検討し施行日までに関係法律を整備するという修正案が出されましたが、否決されました。[6]
次に決まる場面
決める主体決める事項時期
皇室会議 内親王・女王と天皇及び皇族以外の男子との婚姻についての議[4] 施行後、該当する婚姻があるとき
皇室会議 皇族の養子縁組についての議[4] 施行後、該当する縁組があるとき
政府(法務省令) 婚姻や離縁の届出の様式など、戸籍事務の処理に必要な事項[4] 時期は定められていません(法律が法務省令に委任しています)
国会 安定的な皇位継承を確保するための方策[5] 時期は定められていません

補足

会議録は、会議体ごとにばらばらの速さで公開される

会議録が公開される時期は、会議体ごとに違います。この法律案について当サイトが確認してきた範囲では、公開の順番はこうなりました。

  • 2026年7月27日の時点 — 参議院の特別委員会の第1回(7月10日)だけが公開されていました。委員長の互選などを行った回で、法律案の審議は行われていません
  • 2026年8月1日の時点 — 衆議院の議院運営委員会(7月10日)が公開されていました
  • 2026年8月10日の時点 — 参議院の特別委員会の第2回から第4回までが公開されていました

参議院本会議の会議録は、2026年8月10日の時点でも公開されていません。 このページに参議院本会議での発言を載せていないのは、公式記録でまだ確認できないためです。会議録に無いことは、その場で何も起きなかったことを意味しません。公開され次第、内容を確認して追記します。

サイト全体で何日遅れ、という数え方はできません。 同じ法律案の同じ時期の会議でも、衆議院と参議院、委員会と本会議で、公開の時期はばらばらでした。

提出前の国会では、何が問われていたか

法律案が提出される前の質疑は、会議録で読むことができます。優先順位をめぐる問いが目立ちました。

有識者会議の三つの方策のうち、養子の案だけを先に進めるのではなく、内親王・女王の婚姻後の身分保持も同時に進めるべきだという指摘があった一方で、養子の案が最重要であり、内親王・女王の配偶者と子は皇族の身分を持たないこととする必要があるという主張もありました。皇室典範の改正は与野党のできるだけ広い合意を形成して静ひつな環境で進めるべきだ、という指摘も出ています。個々の発言は、このページの「会派ごとに示された主な論点」に会派名を付けて掲載しています。

改正皇室典範についてよくある質問

改正皇室典範で何が変わるのですか?

大きく二つです。一つは、内親王・女王が天皇及び皇族以外の男子と婚姻しても皇族の身分を離れないこととすることで、その婚姻は皇室会議の議を経ます。もう一つは、皇族が、皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である15歳以上の男子(現に皇族でなく、配偶者と子がない方に限ります)を、皇室会議の議を経て養子にできることとすることです。あわせて、独立の生計を営む内親王・女王に対する皇族費が、これまでの親王・王の2分の1に相当する額から、同額に引き上げられます。[1]

いつから変わるのですか?

法律の附則第1条は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する、ただし附則第5条及び第7条の規定は公布の日から施行する、と定めています。公布は2026年7月24日で、大部分の規定は2026年10月24日に施行されます。この日付は、政府が法令データを公開しているe-Gov法令検索の改正沿革でも確認できます。附則第5条(政令への委任)と附則第7条(行政手続法の一部改正)は、公布の日である2026年7月24日から施行されています。[15]

女性天皇が認められるようになったのですか?

いいえ。皇室典範第1条は、皇位は皇統に属する男系の男子が継承すると定めており、今回の改正はこの規定を変えていません。2026年3月16日の参議院予算委員会で、内閣総理大臣は、現行の規定の下では女性天皇は認められないと答弁しています。なお、女性天皇は天皇が女性であることを指す言葉、女系天皇は父方をたどっても天皇に行きつかない(母方の系統によって皇統につながる)天皇を指す言葉で、性別の話と系統の話という別のことがらです。当サイトは、その是非について立場を示しません。[9]

養子になって皇族となった男性は、皇位を継承することがありますか?

参議院が公表している議案要旨は、養子となって皇族となった男子(養子皇族男子)は皇位継承資格を有しないとしています。法律の条文でも、養子皇族男子については皇位継承の順序を定める皇室典範第2条の規定を適用しないと定められています。一方で条文は、養子皇族男子の子孫に係る第2条の規定の適用については、実方の系統によるものとすると定めています。衆参の正副議長がまとめた「立法府の総意」は、養子となって皇族となられた方が皇位継承資格を持たないこととすることなどを慎重に制度設計するとしていますが、その子孫については記していません。[4]

「皇族数の確保」と「皇位継承資格者の確保」は何が違うのですか?

皇族数の確保は、皇室の活動を担う皇族の人数が減っていくことへの対応です。皇位継承資格者の確保は、皇位を継ぐ資格を持つ方をどう確保するかという、別の問題です。2026年3月16日の参議院予算委員会で、内閣官房の担当者は、有識者会議が示した三つの方策はいずれも皇族数の確保という観点から提言されたものだと答弁しました。今回の改正は、皇位を継承する資格を定める皇室典範第1条を変えていません。[9]

いま内親王・女王である方は、結婚したらどうなるのですか?

法律の附則第2条は、施行の際に内親王・女王である方については、その意思により、天皇及び皇族以外の男子との婚姻と同時に皇族の身分を離れることができると定めています。この場合、婚姻について皇室会議の議を経ることはありません。衆参の正副議長がまとめた「立法府の総意」も、現在の内親王殿下、女王殿下が、婚姻後は皇籍を離脱するという現行制度の下で人生を歩んでこられたことに鑑み、経過措置として意向を尊重するなど一定の配慮を求めていました。[4]

なぜ特別委員会で審議されたのですか?

参議院は2026年7月10日に「皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会」を設け、議長が指名した25名の委員で構成しました。7月14日にこの委員会に付託され、7月16日に可決されています。衆議院では議院運営委員会に付託されました。特別委員会は、特定の案件を審査するために会期ごとに設けられる委員会です。[14]

参議院の賛否はどう分かれたのですか?

投票総数241のうち賛成184、反対57でした。賛成は自由民主党・無所属の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会、参政党、チームみらい・無所属の会と、各派に属しない議員のうち4名。反対は立憲民主・無所属、日本共産党、れいわ新選組、沖縄の風、社会民主党と、各派に属しない議員のうち1名です。日本保守党の2名は投票していません。衆議院の記録では、賛成した会派は自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党で、反対した会派は日本共産党でした。会派ごとの内訳は本文の表をご覧ください。[2]

更新履歴

  • 参議院の特別委員会の会議録(7月15日の質疑と7月16日の討論・採決)が公開されたため、参議院の会派ごとの賛成・反対の理由を掲載しました。これにより「賛否・論点の整理」の保留を解除しています。討論を行わなかった会派については、その旨と、質疑での発言の有無を明記しました。あわせて、参議院の特別委員会での政府答弁を2件追加しました。
  • 衆議院の議院運営委員会(2026年7月10日)の会議録が国立国会図書館の会議録検索システムで公開されたため、同委員会で各会派が述べた賛成・反対の理由を「会派ごとに示された主な論点」に追記し、本文に衆議院での審議の節を設けた。あわせて、衆議院でも同じ内容の附帯決議が可決されていたこと、チームみらいが党議拘束をかけずに採決に臨んだことを追記した。参議院の特別委員会(第2回以降)と本会議の会議録は同日時点でなお公開されていないため、賛否の表の「主張の内容」は引き続き掲載していない。
  • 初版公開。参議院の議案審議情報と議案要旨、本会議投票結果、提出法律案の条文、特別委員会の附帯決議と修正案、衆議院の議案審議経過情報、衆参正副議長による議論のとりまとめ、国立国会図書館の会議録、首相官邸の記者会見、e-Gov法令検索をもとに、二つの変更点、審議経過、会派別の賛否、施行の時期、残された課題を掲載。

出典

事実の骨格は国会・官公庁の公式資料(一次情報)を根拠にしています。この記事の出典は、すべて国会・官公庁の公式資料です。 確認の方法は編集方針をご覧ください。

  1. 一次情報参議院議案審議情報 皇室典範等の一部を改正する法律案(議案審議情報・議案要旨) 時点 / 確認
  2. 一次情報参議院本会議投票結果 皇室典範等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)本会議投票結果 時点 / 確認
  3. 一次情報衆議院議案審議経過 閣法 第221回国会 64 皇室典範等の一部を改正する法律案(議案審議経過情報) 時点 / 確認
  4. 一次情報参議院法案資料 皇室典範等の一部を改正する法律案(提出法律案の条文) 時点 / 確認
  5. 一次情報参議院附帯決議 皇室典範等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和8年7月16日・皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会) 時点 / 確認
  6. 一次情報参議院法案資料 皇室典範等の一部を改正する法律案に対する修正案(参議院特別委員会・否決) 時点 / 確認
  7. 一次情報衆議院政府会議資料 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ 時点 / 確認
  8. 一次情報首相官邸会見録 皇室典範改正の法案成立等についての会見 時点 / 確認
  9. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 予算委員会 第2号(2026年3月16日) 時点 / 確認
  10. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 予算委員会 第12号(2026年4月27日) 時点 / 確認
  11. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 予算委員会 第15号(2026年6月22日) 時点 / 確認
  12. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 内閣委員会 第1号(2026年4月3日) 時点 / 確認
  13. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 内閣委員会 第3号(2026年4月10日) 時点 / 確認
  14. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 第1号(2026年7月10日) 時点 / 確認
  15. 一次情報デジタル庁法令 皇室典範(昭和二十二年法律第三号)条文および改正沿革 時点 / 確認
  16. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 衆議院 議院運営委員会 第34号(2026年7月10日) 時点 / 確認
  17. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 第2号(2026年7月15日) 時点 / 確認
  18. 一次情報国立国会図書館会議録 第221回国会 参議院 皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 第3号(2026年7月16日) 時点 / 確認